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まちづくりセンター
4月12日、練馬まちづくりセンターの講座に参加してきました。タイトルは「まちづくりセンターにできること」。
練馬は、この4月に「まちづくり条例」というのが施行されたそうです。この「まちづくり条例」について区民が話し合う中で、「まちづくりセンター」を作ろう、という話が出たそうで。まちづくり条例の施行と同時に、4月からまちづくりセンターもオープンしたそうです。
さてさて、まちづくりセンターとは一体…。
今回の講演では、すでに活動されている世田谷まちづくりセンターの方がお話をしてくださいました。
そのお話をまとめつつ、私が思ったことも織り込みつつ、まちづくりセンターの説明を書いてみます。
私のブログでも前に書きましたが、「住民参加」ということがよく言われるけれど、行政が主導するものの中で住民が主体的に参加するというのはなかなか難しいものがあります。それは、行政にできることの限界が当然あるということ、そして物事の捉え方が「行政側」と「住民側」では必ずしも一致するとは限らないからです。
でも、私たちは行政の区分の枠組みの中で生活しているわけではありません。
そこで、行政と住民との間に立つような存在があると、双方の長所を生かしあって、生活しやすくなるのではないか。
行政とはまた違う組織なのです。
世田谷まちづくりセンターは、そんなコーディネーターのイメージだそうです。
拠点づくりだとか、「もっとこんな街にしたい」という思いだとか、そういうのは多くの人が持っていることですよね。だけど、住民だけではなかなかできないこともある。行政ではなかなかそのサポートにまでは手が回らない。だから、その役割を担う存在が、まちづくりセンターなのですね。
まちづくりセンターは都内には、世田谷、千代田、そして練馬にあるんだそうです。
お話くださった世田谷トラストまちづくり課長・浅海さんによると、世田谷まちづくりセンター流の「官民協働」は次のようなものだと捉えているとか。
・人間関係に基づく
・しくみに息を吹き込む
・参加でカタチを生み出す
練馬まちづくりセンターは、独立した別組織として活動するために、職員は外から公募する形にしたそうです。
今回の講座、第二部は練馬ボランティアセンターの方もまじえたパネルディスカッションでした。
その中で出たこと、私も日々感じていることでした。
【その1】
世田谷まちづくりセンターは当初、住民と一心同体だと思って活動していたんだそうです。だけど、住民と一言で言っても、全ての人が同じ思いで生活しているわけではない。住民同士の対立も起こり得るのです。そうなったときに、双方の間を調整する役割をするためには、あまりにも肩入れをしすぎてしまっては役割を果たせない、と。コーディネーターとして、認めてもらえなくなってしまうわけです。
それは、「中立性」ということの難しさに行き着いていきます。「区民にも、行政にも、企業にも寄らないで、独立して中立な立場としてコーディネートする」ということを目指していますが、では「中立」とはなんだろうか、と。
どんな時でも「どっちにもつきません」と言っているのでは、誰からも信頼されない存在になってしまうかもしれない…
「どっちにもつかない」というところに硬直化してしまったら、結局「公平性」を大事にしている行政と同じものしか提供できなくなってしまうので、あえて別組織として存在する意味がなくなってしまいますね。。
「一心同体とはまた違う、関係の作り方。心は一つだけど、存在はまったく同じというわけではない関係」と、世田谷まちづくりセンターの方は説明してくださいました。う~ん、でも難しそう…。
【その2】
練馬ボランティアセンターの所長さんがおっしゃってたことが、ちょっと私の視野を広げてくれました。
行政は決められた範囲のことしかやらないと言われることがあるけど、それはある意味当然のこと。「これはやるべきこと」と確立されたことを確実に提供していくのが行政の役割だから。逆に、確立されていないものまで行政がどんどこやってしまったら、住民は困ってしまう。
でも一方で、まだ形になっていないものを試してみる必要もある。「やらなくてはいけないんではないか」と挑戦してみて、積み重ねの中からそれを「確立したもの」に変えていくのは、やっぱり市民の力。それをサポートするしくみが必要で、それがまちづくりセンターだと。
地域のコーディネーターとして、やりたい!と思うこと、だけどなかなか難しい「役割」のこと。
非常に共感できる話でした。
何より良かったのは、これから始まる練馬まちづくりセンターの職員の方たちが、生き生きした顔をしていらっしゃったこと。
組織ができたら自動的に何かが解決されるわけではない。大変なことはたくさんあるんだろうけど、私も一緒に参加して、何かをやっていけたら良いなと思いました。
ちょくちょく顔を出して、参加させていただければと思っています。
練馬は、この4月に「まちづくり条例」というのが施行されたそうです。この「まちづくり条例」について区民が話し合う中で、「まちづくりセンター」を作ろう、という話が出たそうで。まちづくり条例の施行と同時に、4月からまちづくりセンターもオープンしたそうです。
さてさて、まちづくりセンターとは一体…。
今回の講演では、すでに活動されている世田谷まちづくりセンターの方がお話をしてくださいました。
そのお話をまとめつつ、私が思ったことも織り込みつつ、まちづくりセンターの説明を書いてみます。
私のブログでも前に書きましたが、「住民参加」ということがよく言われるけれど、行政が主導するものの中で住民が主体的に参加するというのはなかなか難しいものがあります。それは、行政にできることの限界が当然あるということ、そして物事の捉え方が「行政側」と「住民側」では必ずしも一致するとは限らないからです。
でも、私たちは行政の区分の枠組みの中で生活しているわけではありません。
そこで、行政と住民との間に立つような存在があると、双方の長所を生かしあって、生活しやすくなるのではないか。
行政とはまた違う組織なのです。
世田谷まちづくりセンターは、そんなコーディネーターのイメージだそうです。
拠点づくりだとか、「もっとこんな街にしたい」という思いだとか、そういうのは多くの人が持っていることですよね。だけど、住民だけではなかなかできないこともある。行政ではなかなかそのサポートにまでは手が回らない。だから、その役割を担う存在が、まちづくりセンターなのですね。
まちづくりセンターは都内には、世田谷、千代田、そして練馬にあるんだそうです。
お話くださった世田谷トラストまちづくり課長・浅海さんによると、世田谷まちづくりセンター流の「官民協働」は次のようなものだと捉えているとか。
・人間関係に基づく
・しくみに息を吹き込む
・参加でカタチを生み出す
練馬まちづくりセンターは、独立した別組織として活動するために、職員は外から公募する形にしたそうです。
今回の講座、第二部は練馬ボランティアセンターの方もまじえたパネルディスカッションでした。
その中で出たこと、私も日々感じていることでした。
【その1】
世田谷まちづくりセンターは当初、住民と一心同体だと思って活動していたんだそうです。だけど、住民と一言で言っても、全ての人が同じ思いで生活しているわけではない。住民同士の対立も起こり得るのです。そうなったときに、双方の間を調整する役割をするためには、あまりにも肩入れをしすぎてしまっては役割を果たせない、と。コーディネーターとして、認めてもらえなくなってしまうわけです。
それは、「中立性」ということの難しさに行き着いていきます。「区民にも、行政にも、企業にも寄らないで、独立して中立な立場としてコーディネートする」ということを目指していますが、では「中立」とはなんだろうか、と。
どんな時でも「どっちにもつきません」と言っているのでは、誰からも信頼されない存在になってしまうかもしれない…
「どっちにもつかない」というところに硬直化してしまったら、結局「公平性」を大事にしている行政と同じものしか提供できなくなってしまうので、あえて別組織として存在する意味がなくなってしまいますね。。
「一心同体とはまた違う、関係の作り方。心は一つだけど、存在はまったく同じというわけではない関係」と、世田谷まちづくりセンターの方は説明してくださいました。う~ん、でも難しそう…。
【その2】
練馬ボランティアセンターの所長さんがおっしゃってたことが、ちょっと私の視野を広げてくれました。
行政は決められた範囲のことしかやらないと言われることがあるけど、それはある意味当然のこと。「これはやるべきこと」と確立されたことを確実に提供していくのが行政の役割だから。逆に、確立されていないものまで行政がどんどこやってしまったら、住民は困ってしまう。
でも一方で、まだ形になっていないものを試してみる必要もある。「やらなくてはいけないんではないか」と挑戦してみて、積み重ねの中からそれを「確立したもの」に変えていくのは、やっぱり市民の力。それをサポートするしくみが必要で、それがまちづくりセンターだと。
地域のコーディネーターとして、やりたい!と思うこと、だけどなかなか難しい「役割」のこと。
非常に共感できる話でした。
何より良かったのは、これから始まる練馬まちづくりセンターの職員の方たちが、生き生きした顔をしていらっしゃったこと。
組織ができたら自動的に何かが解決されるわけではない。大変なことはたくさんあるんだろうけど、私も一緒に参加して、何かをやっていけたら良いなと思いました。
ちょくちょく顔を出して、参加させていただければと思っています。
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指定管理者制度について
指定管理者制度っていうものに、ちょっと関心を持っています。
ちょっと話は遠回りしますが、まずはきっかけを書きます。
2月に私は、「東京ボランティア・市民活動センター」というところのボランタリーフォーラムというイベントに参加しました。
私も実行委員として、一つの研修を企画していたんですが。「福祉施設やサロンは地域の拠点となり得るか~地域の中での居場所をつくり出そう!~」というタイトルでした。
企画の趣旨は、以下のようなもの。
障害者・高齢者・子どもなどあらゆる分野で「サロン」「デイサービス」「グループホーム」といった小さな身近な「居場所」が増えつつあります。また、大きな施設も地域の中での役割を持っています。「市民活動」という視点から「地域の拠点とは何か」について改めて話し合い、考えてみたいと思います。
前にも書きましたが、私は、地域の中で孤立しがちな人々を結び合わせる仕事がしたいと思っています。その「つなぎ方」の方法の一つとして、「地域の拠点作り」があるのではないかと思っています。
「拠点」っていうのは、ちょっとお茶を飲んでお話をできるような場所であったり、地域の情報を得ることのできる場所、なんていうイメージ。そこで、普段なかなか話せなかった近所の人と知り合いになれたら良いんじゃないかな、って。
子育て中の人も、高齢者も、障害者も。
今は、サロンとか、デイサービスとかがあるんですよね。大きい施設も、「もっと地域に開いていこう」という考えがありますし。
だけど、制度に乗っているものって、しばりも多いんですよね。
そして、制度上でうまく回すことに一生懸命になると、新しい発想が生まれなくなってしまうという弊害も…。
「困っている人がいるから、どうしてもやらなくちゃいけないんだ」という、市民の主体的な熱い思いを形にして、それを継続していくためには何をしたら良いのだろう…というのを考えるのが、企画の意図でした。
私は「地域の拠点」という視点から考えましたけど、この問題は、いろんなところで共通する問題なんだということが、だんだん分かってきました。
そこで、以上の内容とほぼ同内容で、「指定管理者制度・委託」について考えるという姉妹企画も同時進行していました。
指定管理者制度について興味を持ったのは、それがきっかけなんです。
公的な施設(文化センターとか、福祉施設とか)の管理は、今まで公共的な団体か、地方自治体が出資している団体しかできないことになっていました。それを、民間営利企業も含めて広く可能にするための法律(地方自治法)の改正が、2003年に行われたのです。
そういう変更がされたのは、住民のニーズが多様化する中で効率的なサービス提供をするために民間の力を活用する、ということらしいです。
さて、そうなると、「効率的」っていうのはそもそも具体的には何を指すんだろうか、というのが非常に興味深いですね。
お金が安くなるということでしょうか?
でも、行政だと高くて、民間だと安い、という根拠はなんでしょう??
質の高いサービスを提供するためには、スタッフに対しては相当の対価を支払う必要があります。
それに、お金のことだけで「民間活用」というんじゃ、なんだか寂しいですよね。
せっかくの制度だもの、「困ってる人がいるから、やらなきゃいけないんだ」という、人々の熱い思いを叶える手段として機能して欲しいと、私は思います。
もう少し詳しく、指定管理者制度について知りたいと思いまして、「指定管理者制度で何が変わるのか」(文化政策提言ネットワーク編 水曜社 2004年)という本を手にとってみました。
これは、文化ホールの指定管理者制度についての本ですが、福祉とも通じる部分がたくさんありました。
いくつか、引用させていただきますが、ぜひ「文化」という言葉を「福祉」に置き換えて読んでみてください。
★「施設効用」とは何かという課題は、行政だけではなく、やはり市民参画で討論され決定され公表されていくべきものではないか(32ページより)
★公立文化施設の公共性を考えるとき、社会の潜在的需要(ニーズ)の調査・発掘と、これに対応した積極的な施策が必要であることを政策的に明記しなくてはならない(34ページ)
★単にコンサートを何回実施して、入場者数が何人、といったアウトプットの指標だけでなく、その施設のミッション、すなわち公共性の実現における結果(アウトカム)についての仕様を明記することが不可欠である。(48ページ)
★行政は、率先して市民とともに文化の必要性を語り、仕組みをつくる。しかし、なんといっても一番大切なことは、「豊かな文化のある社会を実現することは、私たち一人ひとりの問題である」。それを私たち自身が認識することである。(60ページ)
練馬区でも、指定管理者制度の利用は増えてきてるようです。練馬区のホームページには、次のように書かれています。
指定管理者制度は新しい制度であり、他の自治体も実施にあたり模索している状態です。区としても、他の自治体の動向や導入後の経過を随時、検証しながらこの方針も必要に応じて見直しを行っていきます。
せっかくならば、市民ひとりひとりが責任を持って、皆で「公共」について考えていくことのできる仕組みができたらいいんじゃないかなあ。
練馬の指定管理者制度の実態については、ぼちぼち見ていきたいと思っています。
新しい発見があったら、またブログで報告しますね。
ちょっと話は遠回りしますが、まずはきっかけを書きます。
2月に私は、「東京ボランティア・市民活動センター」というところのボランタリーフォーラムというイベントに参加しました。
私も実行委員として、一つの研修を企画していたんですが。「福祉施設やサロンは地域の拠点となり得るか~地域の中での居場所をつくり出そう!~」というタイトルでした。
企画の趣旨は、以下のようなもの。
障害者・高齢者・子どもなどあらゆる分野で「サロン」「デイサービス」「グループホーム」といった小さな身近な「居場所」が増えつつあります。また、大きな施設も地域の中での役割を持っています。「市民活動」という視点から「地域の拠点とは何か」について改めて話し合い、考えてみたいと思います。
前にも書きましたが、私は、地域の中で孤立しがちな人々を結び合わせる仕事がしたいと思っています。その「つなぎ方」の方法の一つとして、「地域の拠点作り」があるのではないかと思っています。
「拠点」っていうのは、ちょっとお茶を飲んでお話をできるような場所であったり、地域の情報を得ることのできる場所、なんていうイメージ。そこで、普段なかなか話せなかった近所の人と知り合いになれたら良いんじゃないかな、って。
子育て中の人も、高齢者も、障害者も。
今は、サロンとか、デイサービスとかがあるんですよね。大きい施設も、「もっと地域に開いていこう」という考えがありますし。
だけど、制度に乗っているものって、しばりも多いんですよね。
そして、制度上でうまく回すことに一生懸命になると、新しい発想が生まれなくなってしまうという弊害も…。
「困っている人がいるから、どうしてもやらなくちゃいけないんだ」という、市民の主体的な熱い思いを形にして、それを継続していくためには何をしたら良いのだろう…というのを考えるのが、企画の意図でした。
私は「地域の拠点」という視点から考えましたけど、この問題は、いろんなところで共通する問題なんだということが、だんだん分かってきました。
そこで、以上の内容とほぼ同内容で、「指定管理者制度・委託」について考えるという姉妹企画も同時進行していました。
指定管理者制度について興味を持ったのは、それがきっかけなんです。
公的な施設(文化センターとか、福祉施設とか)の管理は、今まで公共的な団体か、地方自治体が出資している団体しかできないことになっていました。それを、民間営利企業も含めて広く可能にするための法律(地方自治法)の改正が、2003年に行われたのです。
そういう変更がされたのは、住民のニーズが多様化する中で効率的なサービス提供をするために民間の力を活用する、ということらしいです。
さて、そうなると、「効率的」っていうのはそもそも具体的には何を指すんだろうか、というのが非常に興味深いですね。
お金が安くなるということでしょうか?
でも、行政だと高くて、民間だと安い、という根拠はなんでしょう??
質の高いサービスを提供するためには、スタッフに対しては相当の対価を支払う必要があります。
それに、お金のことだけで「民間活用」というんじゃ、なんだか寂しいですよね。
せっかくの制度だもの、「困ってる人がいるから、やらなきゃいけないんだ」という、人々の熱い思いを叶える手段として機能して欲しいと、私は思います。
もう少し詳しく、指定管理者制度について知りたいと思いまして、「指定管理者制度で何が変わるのか」(文化政策提言ネットワーク編 水曜社 2004年)という本を手にとってみました。
これは、文化ホールの指定管理者制度についての本ですが、福祉とも通じる部分がたくさんありました。
いくつか、引用させていただきますが、ぜひ「文化」という言葉を「福祉」に置き換えて読んでみてください。
★「施設効用」とは何かという課題は、行政だけではなく、やはり市民参画で討論され決定され公表されていくべきものではないか(32ページより)
★公立文化施設の公共性を考えるとき、社会の潜在的需要(ニーズ)の調査・発掘と、これに対応した積極的な施策が必要であることを政策的に明記しなくてはならない(34ページ)
★単にコンサートを何回実施して、入場者数が何人、といったアウトプットの指標だけでなく、その施設のミッション、すなわち公共性の実現における結果(アウトカム)についての仕様を明記することが不可欠である。(48ページ)
★行政は、率先して市民とともに文化の必要性を語り、仕組みをつくる。しかし、なんといっても一番大切なことは、「豊かな文化のある社会を実現することは、私たち一人ひとりの問題である」。それを私たち自身が認識することである。(60ページ)
練馬区でも、指定管理者制度の利用は増えてきてるようです。練馬区のホームページには、次のように書かれています。
指定管理者制度は新しい制度であり、他の自治体も実施にあたり模索している状態です。区としても、他の自治体の動向や導入後の経過を随時、検証しながらこの方針も必要に応じて見直しを行っていきます。
せっかくならば、市民ひとりひとりが責任を持って、皆で「公共」について考えていくことのできる仕組みができたらいいんじゃないかなあ。
練馬の指定管理者制度の実態については、ぼちぼち見ていきたいと思っています。
新しい発見があったら、またブログで報告しますね。