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新宿区民会議

練馬の話ではありませんが、私がやりたいことと重なることであり、練馬で活動を始めようと考えたきっかけの一つである、新宿区民会議について書きたいと思います。

昨年度から先日まで私は、仕事の関係で新宿区民会議というものに参加していました。
これは、新宿区の基本構想を考えるために、広く区民に呼びかけて区の課題とあるべき区の姿について皆で話し合おう、という趣旨のもとにはじめられたものです。

ちょうど昨年の今頃、開始されました。
300人ほどの区民・在勤の人が集まってスタートしたのです。

詳しくは区民会議のホームページを見ていただければと思いますが、6つの分科会に分かれていまして、私は「健康、高齢、障害、介護」というテーマで話しあうところに参加していました。この分科会だけでも80名ほどの人が参加しました。

正直、区の職員さん達も手探り状態。学識経験者として早稲田大学等の先生方が参加しているけれど、先生達も手探り状態…。
もちろん区民も「自分はここに参加して何ができるんだろう、何が得られるんだろう」と期待半分、疑い半分の状態。。

以来、月に2回、1回につき2時間の会議が持たれるようになりました。

家族の介護をしている方、高齢化に悩む団地の自治会の役員の方、日々地域の人の悩みに向き合っている民生委員の皆さん…
そういった方々と知り合い、お話を伺うことはとても勉強になりました。

最初の半年は、皆が
自分の悩みを人に聞いて貰うことで精一杯
区が何かをしてくれるのかな?
といった状態でした。はっきり言って整然とした進行ではなかった。
私は一区民委員として(区内にある事業所で働いている者として)参加していたけど、一方で社会福祉士としてファシリテーター(進行役、促進役)をした方がいいのかもしれない、などと立ち位置に悩みながらの日々でした。

中立の立場に立とうとすると、
かとうぎさんは、区の職員さんなんでしたっけ?
などと聞かれて、さらに悩むという状態…

「この会議の意義は何なんだろうか」「これで良いんだろうか」と悩む中でも少しずつ、集団は成長をしていきました。

最初は
今まで誰も助けてくれなかった
自分にとっては自分の課題を解決できさえすればあとはどうでも良いんだ
とおっしゃっていた方が、
ほかの人の問題を自分の身近な問題にひきつけて理解し、説明してくれるようになっていったこと。

「素人な質問ばかりしてごめんなさい」と言いつつ、
私は今まで母親の介護しかしてこなかったけど、地域には障害者のことやホームレスのこと、色々と深い問題があるのよね
とおっしゃった女性。

区の職員さんは、皆結構「詳しい情報は区のホームページを見てください」と言うんですね。それに対して、「ホームページを見れない人はどうするの?」という意見。最初は不平不満としてだったけど、だんだんと
見れない人がいるのなら、どういう代替手段があるのか」を話し合う場が増えていった。

2月にあった中間発表会では、私を含めた4人が発表をしたのですが、(こちらのPDF資料の27ページに私が登場しますね…)このときまでは、
「区が何かをしてくれるかもしれない」
「かとうぎさんは若いからやってちょうだい」
「かとうぎさんは福祉の専門なんでしょ?」という状態
だった。

だけど中間発表会という一つの区切りを契機として、それまでに培ってきた少しずつの成長が一気に開花しました。
誰かが何かをしてくれる
のではなく、
「その課題に自分はどう向き合えるのか」
「自分はどんな役割をできるのか」

という方向に向かって動き出しました。

そんな紆余曲折を経た新宿区民会議が、この6月25日にとうとう最終日を迎えました。

私は仕事の関係で4月以降はあまり参加できなくなってしまっていたのですが、区民委員が四苦八苦してまとめた成果が、6月25日に出たのだと思います。

この経験は私に、次のような課題を与えてくれました。

★「人が生きるために必要なこと」と「欲求を満たすこと」の違いを見つけていく必要性。
「自分の課題さえ解決すれば良い」
「誰かが解決してくれたら良い」

という思いを、共感を持って受け止める場があることで、
個人レベルの「欲求」「不満」が、
地域の普遍的な課題になっていく場面に立ち会うことができました。
欲求」を欲求のまま受け入れてその場その場で解決していくのではなく、「必要なこと」という形に置き換えていくこと。そうすることでその人も、聞いている私も、一緒に成長していけるのだということ。

★区の基本構想を考えるという過程に、議会以外の形態を用意することに対する批判もあるようです。だけど、議会はどれだけ「一人の区民」の思いや悩みを議論できているのか。「一人の区民」が当たり前に参加できる場として機能しているのか。そういうことをまず先に考えるべきだと思うし、私も批判するだけではなく、そのことを考える役割を責任を持って果たしていきたいと思います。


※区民会議関係の方はブログは読まないだろうなあ…もし読んでくださったらぜひコメントくださいね。
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プロフィール

かとうぎ桜子

Author:かとうぎ桜子
1980年生まれ。

保育士、ヘルパー2級、社会福祉士の資格を使って福祉の仕事をしてきました。
制度だけでは一人ひとりが安心して生活するまちを作るには不十分だと考え、誰もが安心できるまちのしくみ作りをしていきたいと考えています。

2007年4月の統一地方選で練馬区議会議員に初当選。

2010年3月、「市民参加と公共性―保育園民営化を契機として」と題する修士論文を書き、立教大学大学院・21世紀社会デザイン研究科を修了。

2011年4月 無所属で2期目に当選。

2011年末に子宮頸がんが見つかり、2012年春に円錐切除の手術をしました。その後は今のところ再発もなく元気に仕事しています。
この経験を活かし、がん検診の啓発など健康に関する課題にも取り組んでいこうとしています。

2015年4月、3期目に当選。

会派は市民ふくしフォーラム。

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