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福祉がたらいまわしにならないように
今日の内容はちょっと、福祉の仕事をしている人の批判めいていて、申し訳ない気もしますが…
練馬ではなくて他区に住んでる知人(仮にBさんとします)の話なのですが。
寝たきりの方用の、寝巻きが欲しかったんだそうです。でも、サイズとか素材とか、ぴったり来るものがなかなか見つからない。寝たきりの人のためだから、できるだけきちっと体にフィットしていて欲しい。これから寒い季節だから、できるだけ素材も温かいものにしたい。
でもなかなか見つからなくて、自分の地域の社会福祉協議会に電話をして聞いたんだそうです。そしたら、「介護用品については、地域包括支援センターに聞いてください」と言われたそうです。
ちょっと注釈。社会福祉協議会は、どこの自治体にもある団体で、地域の福祉について色々やってるところです。ボランティアさんに関することだったり、地域の福祉祭りをやったり。介護保険事業をやっているところもあったりします。
地域包括支援センターは、昨春の介護保険の改正でできたもので・・・文字通りなんですが、地域生活すべてを支えるところです。今まではいろんな制度が分断されてしまっていたから、介護のことだけではなくて高齢者の地域での生活を包括的に支えるところが必要だということで作られました。
さて話を戻して。そういうわけで、Bさんは最初は「地域の福祉の活動をしている」社会福祉協議会に聞いたけど、それは地域包括支援センターに聞いたほうが良い内容だと言われたわけですね。
そんで、Bさんは地域包括支援センターに電話をした。
そうしたら、探し求めている「温かい素材でサイズがぴったり来るもの」がどこにあるかはやっぱり分からないと言われた。そして、「近くに介護用具を販売しているFというお店があるので、そこに電話して聞いてみてください」と言われた。
F店にもやっぱりぴったり来るものがなかった。
でもここで今までとちょっと違ったのは、F店の店員さんが他の店にも電話をかけて探してくれたこと。Bさんに「かけてみたら?」というのではなくて、店員さんが自ら、見つかるまで探してくれた。
福祉の仕事は、必要な人に必要なものが届くように、人や物を調整する役割だと思います。人と人、ニーズと物をつないでいく役割。
社会福祉協議会や地域包括支援センターの人は、Bさんが求めるものがどこにあるのか、一緒に考えるべき役割です。
両方とも、他の団体を紹介はしています。でも、これって「つないだ」と言えるのかなあ、って疑問に思いました。
私には、社会福祉協議会→地域包括支援センター→F店 という、「たらいまわし」に見えるのです。
今回はたまたま介護用具を必要としていたのがBさん本人ではなかったので、根気強く探し求める力がありましたが、もし介護を要する本人またはその家族が必死の思いで探し求めていたとしたら、これだけ何度も電話をかけ直すエネルギーが続いたかどうか。
社会福祉協議会や地域包括支援センターという組織そのものが悪いというわけではないんだと思います。同じ団体の中でも、たまたまそのとき対応した人がそうであったのであって、ほかの人が出たらまた違ったのかもしれない。事実、F店の店員さんは、自分の店に該当の品がなくても、見つかるまで一緒に探してくれたんだから。
でも、問題は、その「ばらつき」なのではないかと。
ヘルパーの仕事をしている中でも同じです。
利用者さんが訴えてくる「今これが辛い」という思いにどれだけ耳を傾けられるか。それは福祉従事者一人ひとりの資質に任せられるところが多々あります。
制度を整えていくことは大事だけど、それだけではまだ足りない。制度を動かす人の質を上げていかなくてはならない。
お金をかけて人を雇うということではなく。
今いる福祉従事者の中ではどんな人が頑張っていて、どこが手薄になっているのか。それを多くの住民の目で、見守っていくということがもっともっと必要になるのではないでしょうか。