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コムスンについて

今までにニュースや新聞で得た情報と、それに対するコメントや社説等について、私が思ったことを書きます。


まずは「不正があった」という報道がされた時に「そうか!それは悪い!」とすぐに鵜呑みにする兆候が、世の中にはあるということ。具体的に何の不正が行われて、どう悪いのか、皆さん報道で理解されましたか?


これは、健康について扱う番組を見て例えば「バナナが体に良い」と聞いたら、「そうかバナナは体に良いのか」と買いに走るのと同じ現象だと思います。具体的に何がどう体に良いのか、体のどの部位に対して良いのか、っていうとあんまりよく分からないんだけど「とにかく良いらしい」みたいな。


 


 私は元々、コムスンみたいな大きい会社ってどうなんだろうというのは思ったこともあり、(特にコムスンは、ジュリアナ東京みたいな経営なのか…?と思ったり ^_^;)


実際私が働いた事業所はもっと小さいところやNPOが多かった。だけど、特に24時間介護が必要な重度の病気の方の在宅生活を支援する仕事をしてみて、「福祉に株式会社なんか入ったらやっぱりダメじゃないか」という単純な話ではないということを感じました。


私の利用者さんだった人の中にもコムスンの24時間介護がなければ生活が成り立たなくなりそうな方がいらっしゃいますから、コムスンの問題が出たときに私はまずその人のことを考えました。


これは、コムスンという1つの会社の問題ではなくて、今の日本の福祉というところから考えなくてはならないと思います。


2000年に介護保険が始まったとき、今まで「恩恵」としてとらえられがちだった福祉がこれからは権利として認められるようになると言われました。自分で考えてサービスを選択し、自ら契約をして利用する制度。


死ぬときには、病院や施設ということが多かった。病気になったり介護が必要になると病院や施設に入らざるを得ず、家に帰りたいと思いながら死んでいく人も多かった。


介護は家族がするのが当然で、他人に頼らずに家族で支えるのがあるべき美しい家族像だと思われてきたから、役所にお願いをしてヘルパーさんに来てもらうのは恥ずかしいことだという考えがあった。だからあまりの大変さに家族全体がパンクしてもう病院や施設に預けざるを得ない疲弊した状態になってしまっていたのです。


本人はもちろんだけど、家族も、最期まで安心して自分らしく自分の住みたい家で生活していけるように支えていくことが必要なのではないか。自分の住みたい場所で最期を迎えたいと思うのは、恩恵を受けるということではなく当然の権利なのではないか。


40歳から保険料を払って、必要になったときには当然の権利としてサービスを利用し、利用料を払う。


在宅サービスは特に重視されていたものだったはずです。


・・・そんな素晴らしい理念が現実とは乖離していると分かったから、私は議員を目指したわけですが。


介護保険が始まって、ヘルパーの資格を取る人はすごく増えました。皆さんの身近なところにも「資格は持っているのよ」という方がいらっしゃるんじゃないでしょうか。


でも、「資格は持っているんだけどね」という人も多いのではないでしょうか。つまり、資格は取ったけど実際に働いてはいない人。


 


ヘルパーのお給料は、とても安いのです。そして多くの場合、利用者さんの家で働いている時間だけ給料が発生し、利用者さん宅から次の利用者さん宅までの移動時間は給料が発生しない。報告書類を作る時間も給料が発生しないということも多いのではないかと思います。


利用者さんが入院するなどでキャンセルになったら急に仕事がなくなるし、その分給料も減る。1日がきれいに仕事で埋まるわけではないので、たとえば9時から11時まで仕事をしたら間が中途半端にあいて次は13時から16時で、今日は終わり、というような。中途半端に時間があいたら合間に家に帰ることもできず、実質的には拘束時間になるわけですが、上のような場合は給料が発生するのは5時間分。拘束時間は7時間ですけれど。移動時間は給料にならないんだから、とっても交通の便が悪いところに行く場合でもその時間は給料は出ない。


私は上のような形ではなくて、常勤という形でやらせてもらえるところにしていたので、少し恵まれていると思います。(常勤にすると今度は単価が下がりましたが・・・)恵まれてるなあという状況でも、「おお!私、今結構給料良いな!」と思った最高額で月収16万くらい。ボーナスはないので年収200万くらい。これでもヘルパーの仕事をしている中では恵まれているほうだと思います。


 


だから、私くらいの年齢の人で福祉の道に行きたい人は在宅は無理。入所施設で働く場合が多い。入所施設だと、施設そのものに安定した介護保険収入があるので、職員さんもホームヘルパーよりは安定している。その分夜勤は一人で何十人も見なくてはいけないきつさがあって「こんな人間らしくないことをするために福祉をやりたかったわけじゃないのに」と燃え尽きる人も多いのですが。


在宅の利用者さんに対するヘルパーの仕事を続けられるのは、主婦の方が中心となる。


すると、夜勤はできない場合が多い。


在宅での生活を続けるときに、家族が「もう無理だ・・・」と思ってしまうのは夜間の介護でしょう。ゆっくり寝る間もない。いつまで続くんだろうか、と。


だけど夜勤ができるヘルパーさんはあんまりいない。


そこで頼るのは、大手のヘルパー派遣会社や、もともと家政婦紹介をやっていたような会社になります。


私が働いてたような小さなNPOは、やる気はあっても人手が足りない。大きな会社は、(コムスンでもその営業所の所長がどれだけ心温かいかによってまた対応が違うような印象はありましたが)時間帯を合わせられるヘルパーさんを探し出してくれたり、ヘルパー派遣以外の全体で収益がマイナスにならないように調整すればなんとかできるという柔軟さがあるのかなあという印象を持っています。


 


そうそう、ここまで書いて「なんで私はこんなにスラスラ書けるんだっけ」と考えてみたら、私は昨年、NPOで働いていたときに23区内のヘルパー事業所にほぼ全部電話して「24時間の介護をやってますか?」というアンケートをしたのでした。


「大丈夫ですよ、相談に乗りますよ」と答えてくれたのは、大体コムスンだった。


ほかの事業所はたいてい、やってあげたい気持ちがあっても人手がないという。小さいところでもなんとかがんばっているのは、障害を持ったお子さんのお母さんたちが立ち上げて気力でなんとか必死でやっているようなところだったりで、まったく収益のある事業として成り立っていないことが多かった。


今回、不正があったというけれど、単純に書類の不備、みたいなのもあると思います。それは、上に書いたように書類の整理をしても収入にはならないから、どうしても他にやるべきことに手をとられてしまうというところもあるのです。(ただ、書類を軽視する悪い癖は、福祉の世界は多い気はしていますが・・・。)


 


これが今の在宅介護の現状なわけです。


「コムスンが営業をやめる場合、コムスンの関連会社に渡すのはけしからん。ほかの会社を探せ」というのは、理屈としてはもっともですが、じゃあそういう会社が他にあるかどうかを調べて教えてくださいな、というところだと思います。


なぜ、こんなに在宅福祉サービスが疲弊しているのか。それをまずもう一度チェックする必要があると思います。


去年の介護保険改正で、今までヘルパーを使っていたのに急に「この人は介護の度合いが軽いだろうから時間数もこんなに要らないし、1時間あたりの単価も下げよう」という例がたくさんある。それは「介護予防重視」という言葉で片付けられてしまっている。介護がまだ必要じゃなさそうなのにヘルパーをそんなに使っちゃだめだよ、という言葉で。


それは利用者さん本人にもきついことだけど、事業所の経営をさらに圧迫している。


 


それから、安定した収入を見込める「おいしいところ」は、外郭団体系の団体が持っていっているという部分もあります。これもまた細かく書きたいような気もしますが、いっぺんに書いたらわけが分からなくなりそうなのでとりあえずここで止めておきます。


だから、株式会社だから悪い、とかではないと思います。制度そのもののゆがみの結果が出ただけだと思います。


これからどうなっていくのか、とても心配ですが、とにかく利用者さんと、大変な中がんばってきたヘルパーさんたちの環境が激変しないことが最重要だと思います。


 


さて、私は明日とあさって、山口県で行われる地域福祉学会の大会に参加してまいります。


またそのご報告もしたいと思っています。

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桜子のツイッター

プロフィール

かとうぎ桜子

Author:かとうぎ桜子
1980年生まれ。

保育士、ヘルパー2級、社会福祉士の資格を使って福祉の仕事をしてきました。
制度だけでは一人ひとりが安心して生活するまちを作るには不十分だと考え、誰もが安心できるまちのしくみ作りをしていきたいと考えています。

2007年4月の統一地方選で練馬区議会議員に初当選。

2010年3月、「市民参加と公共性―保育園民営化を契機として」と題する修士論文を書き、立教大学大学院・21世紀社会デザイン研究科を修了。

2011年4月 無所属で2期目に当選。

2011年末に子宮頸がんが見つかり、2012年春に円錐切除の手術をしました。その後は今のところ再発もなく元気に仕事しています。
この経験を活かし、がん検診の啓発など健康に関する課題にも取り組んでいこうとしています。

2015年4月、3期目に当選。

会派は市民ふくしフォーラム。

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