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施設介護サポーター

今度の10月から、東京都が「施設介護サポーターモデル事業」というのを始めるそうです。都内の5自治体でのモデル事業。練馬もそれに手を挙げて、社会福祉事業団に委託をして実施するという。
モデル事業を行なう理由として、8月29日の医療・高齢者等特別委員会に出た資料には、

事業の背景・目的
○介護保険施設等では、人材確保・定着が厳しい状況となっている。
○介護施設では介護職員でなければ行えないサービスの他にも多様な業務がある。
○そこで、地域人材を積極的に活用することにより、社会参加の促進を図るとともに、介護施設の活性化に資する。

と書いてあります。

介護の人材不足・・・どう対応できるのか、検討されています。私も2月の定例会では人材不足について意見を言いましたが、まずは、国で決めている介護報酬の見直しをするよう、国に意見を言うことが考えられるでしょう。あと、主体的に区のできることと考えると、研修システムを充実させることがひとつあって、これについては練馬区でも考えていきたいというような答弁もありました。
事業所側からは、人材募集の広報についての支援をしてほしい、という声もあがっていますが・・・これはちょっと、当面の広報費用の削減にはつながっても根本的な解決ではないような気が、私はしますが

あと、私が大学院のほうでこのことについて議論している中で出てきたのは、昔、バブルの時代にやはり同様の福祉人材不足が起きて、そのときに人材確保指針やら、人材センターやらを作ったにもかかわらず、それ以上の「福祉の仕事をずっと続けたい」と思える基盤整備がされてこなかったという問題があるのではないかということです。
この1,2年、新卒の学生が一般企業で働きやすくなったようで、そしたら福祉に従事する人も減る、という傾向もあるようです。それは、お給料はもちろんのこと、専門性が社会的に認められてこなかったという、この15年くらいの、福祉の世界のあり方の問題もあるのではないかと。

そんなこんな、いろんな意見が出る中で、まずは来年度の、自治体ごとの「介護保険事業計画」見直しに向けて、具体的に方向性をつめていかなくてはいけないところ。


そんな中で、ひとつだけ、どうしても、どう考えても承服しがたいのが、人材不足の対応の一方策として「地域のボランティアの活用」というのをあげることが多いこと。

稲城市では、65歳以上の人が介護施設でボランティアをするとポイントをつけて、介護保険料を割引するってしくみを始めましたね。

これって、一言で言えば、「給料の低い介護職員の人材が集まらないから、それならいっそタダ(もしくはポイントをつけるだけ)で働いてくれるボランティアを使っちゃえ」って言ってるような気がしちゃうんですよね。



ボランティアの実例について、前回のブログで書きました。

山谷では、そこで普段から日雇いの人や路上生活者への支援活動をしている団体が、「年に1度はお祭りをやって、食べたり飲んだり、そしてイベントで楽しんで欲しい」という思いでやったお祭りの手伝いに行ったのでした。
私は、そのお祭りの趣旨に賛同したのと、「山谷という地域を見てみたいな」という気持ちと、そして誘ってくださった大学院の先生のことが好きだったから出かけたのです。
別に、ごぼうをささがきにすることが趣味なわけでもないんだけれども、上記の目的を持って参加しているから楽しかった。
ところがこれがもし、「ああ、ほんとは調理の職員を雇ってやらなきゃいけない事業だったんだけど、財源もないし、求人の手間もかかるから困ってたんで、タダでやってくれてラッキー」と言われたら、怒りますよ(--;)

戸山団地のHさんは、自分のご近所さんが孤独死してしまう現状をどうにか止めたくて、必死で活動していらっしゃる。
そんなHさんのことが好きだから、私も8月31日に出かけていった。Hさんの思いに共感しているからです。
それをもし、たとえば行政なんかから、「団地の独居高齢者対策は考えないといけないところだったけど、地域でやってくれるんだったらラッキー」みたいな捉え方をされたら、これまた腹が立ちますね。

でも、「介護の人材不足の解消のために、地域のボランティアを活用する」っていうのは、そういうことだと思うんですよ。

こういう言い方は、専門性を持って介護をしている従事者に対しても、「地域をなんとか良くしたい」と思っているボランティアに対しても、どちらの思いも踏みにじる、失礼な言い方でしょう。

まったく、失礼しちゃうわ、と思うわけですが、ただ一方で、「危機的状況」を救うには「地域の力」が必要だし、そして「危機的状況」によって「地域の力」が育つ契機になることもあるとは思うのです。
例えば阪神・淡路大震災をきっかけにして、ボランティアが注目されてきたという経過はあるのですから、介護が危機的状況にあるならば、地域で支えるしくみをどう作れるかは考えていくべきだろうし、そのきっかけに、このモデル事業がうまく使えればいいじゃないですか。都の事業の意図がどこにあるにしろ、練馬区として、地域で支えあうシステム作りにうまく活用できれば良いわけで。例えば、施設職員は介護の業務で手一杯なんだから、地域の協力者に対して「介護って何だろう」っていうことを紹介していったり、ボランティアに参加しやすいようなしかけをしていくコーディネーターは必要でしょう。それに力を入れていくべきではないかと、私は思うのです。

・・・ってなことを、8月29日の委員会で言いたかったんですけどね。
でも前段の、「介護従事者にもボランティアにも失礼ですね」というところに、皆さん反応してくださっちゃいましてね(^^;
「人材不足への対応には、これだけじゃなくてもっと色々考えてます!」みたいな答弁をしてくださっちゃいまして。

人材不足は人材不足で当然考えていかなくちゃいけない問題なんですけれど、今回の場合私が言いたかったのはむしろ、困った時の安い労働力として「地域」を使わないで欲しい、ということでした。むしろ困った時には地域とともに問題解決をしていくという、発想の転換が必要でしょう。

※かとうぎ桜子を育てる会のHPはこちら
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桜子のツイッター

プロフィール

かとうぎ桜子

Author:かとうぎ桜子
1980年生まれ。

保育士、ヘルパー2級、社会福祉士の資格を使って福祉の仕事をしてきました。
制度だけでは一人ひとりが安心して生活するまちを作るには不十分だと考え、誰もが安心できるまちのしくみ作りをしていきたいと考えています。

2007年4月の統一地方選で練馬区議会議員に初当選。

2010年3月、「市民参加と公共性―保育園民営化を契機として」と題する修士論文を書き、立教大学大学院・21世紀社会デザイン研究科を修了。

2011年4月 無所属で2期目に当選。

2011年末に子宮頸がんが見つかり、2012年春に円錐切除の手術をしました。その後は今のところ再発もなく元気に仕事しています。
この経験を活かし、がん検診の啓発など健康に関する課題にも取り組んでいこうとしています。

2015年4月、3期目に当選。

会派は市民ふくしフォーラム。

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