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がん対策(沖縄視察報告③)

2日目の視察では、琉球大学の医学部の先生からお話を伺いました。

「沖縄県がん診療連携協議会」というものがあって、医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会、県立・市立の病院、患者の立場の人、有識者などが参加して定期的に会議をして、情報や問題意識の共有を図っているそうです。

生涯でがんにかかる割合は2人に1人。年齢が上がるほどその割合は高まるので、誰でもかかり得るということを前提にして、がんになった時に安心して将来の生活の見通しを立てられる支援をする必要があるというお話を聞きました。

タバコはがんのリスクを高めるけれど、それ以外のことで何をすればがんにならない(何をするとがんになる)とは言えないし、多くのがんは遺伝もしないと。

でも、自分や身内ががんになったら、「なんで自分が・・・」と理由を考えてしまうのは当然の気持ちであると。


そこで、がんについての情報は必ずしも正確ではないものもある中で、正確な情報を当事者に届けるとりくみをしているというお話でした。
たとえば「がんになったら手にとるガイド」という本や「がんナビ」というサイトの紹介など。

情報というのは具体的には、
・がんになった時、他の人はどう向き合ってきたかを知ること
・自分のかかったがんの特徴を知ること
・医療機関との関係の作り方
・セカンドオピニオンのこと
・経済的な負担のこと
・負担を軽減するためにどんな年金・保険などどんな制度が使えるかということ

など。
そして、色々な経験はやはり経験者同士で話し合うことで解決できたり、理解しあえることもあるので患者会のことなども情報として知ることは大切。

また、自分のがんが今どういう状態にあって、今後どういう治療や検査をするのか、リハビリなどのスケジュールを表にした「クリティカルパス」というものを作り、さらには急性期、回復期という状態にあわせて関わる複数の医療機関の連携に活かしていくという取り組みを沖縄では進めているそうです。


お話を聞いていて思ったのは、がんというのは私にとって(そして多くの人にとって)客観的な問題ではなくて自分の問題であるということです。

私の父も大腸がんになって、転移はせずに今5年目になりました。父の場合は良い経過をしているけれど、親しかった恩師や友人知人の中にもがんになった人は多く、亡くなってしまった人もいます。

親しい人や身内ががんになるという中で、私は支援する側の立場としてがんを見ることができず、「なんで○○さんががんになってしまったんだろう・・・」と、何かの答えを求めたいという心の混乱の渦を経験したし、そこから今でも抜け出すことはできず、しかも抜け出せていないことに自分でも気づいていなかったということを感じました。

「なんで自分ががんになったんだろう、と思うのは、誰もが持つあたりまえのこと」
これを、今回お話をしてくださった先生から聞いて、ハタと自分の気持ちにも気付いたのでした。

福祉の仕事をしたり議員として色々な相談に乗っている中で、気持ちの混乱というのは起こり得るということはわかっているつもりだったのに、いざみずからが当事者になってみるとやはり自分にも同様の気持ちが起こっていた。しかもそれに気付けていなかったんだ!というのは衝撃的でした。

自らが抱えている気持ちに気付くということはとても大切だなと思います。それが客観性につながり、そして同様の立場に立った他の人への思いやりの気持ちや支援につながるからです。

「生涯で2人に1人ががんになるのだから、家族にがんを患う人がいる子どもも多い。だから、教育の中でのケアもしていく必要がある」と、先生は説明してくださいました。


誰もががんにかかる可能性がある中で、やるべきことはできるだけ早期に発見すること。そして心のケアも含めてしっかりと情報提供をしながら進めていくことが必要だということです。


早期に発見するためにはがん検診が必要ですが、検診率を上げるためには新聞・テレビなどで不特定に呼び掛ける方法ではなく、対象者に個別に直接電話をしたり、訪ねていったりということが有効だそうです。

これは興味深い話ですが、練馬区のように人口の多い自治体はどう取り組むべきか、難しいところですね。

そこで私が考えたのは、がんの体験をした人がその体験をふまえて、友人たちに検診を勧めることができたらいいんだろうなと。
ただ、そのためにはやはり「なんで自分が・・・」という心の渦から抜け出すことがまずは必要ですよね。

それから、がん検診って、カメラなどの器具を身体の中に入れるでしょう。これ、痛いというほどじゃなくても、体にとってのストレスではありますよね。子宮がん、乳がん、大腸がんの検診などは特に体のデリケートな部分に触れるので、つい受診を先延ばしにしてしまいがちだったり、いやな思いをしたらもう受けたくないなと思ってしまうこともあるんじゃないかと思います。(実際、私も以前、検診を受けていやな思いをしたことがあったし・・・)


いずれにしても、医療にかかわる「なんで?」という気持ちや「いやだな」という気持ちや体験は、とてもプライベートなことで、自分の中で抱えて外に吐き出されないことが多いんじゃないかということを改めて考えました。

日頃から医療についての体験や疑問を話し合うような場が必要なのではないかと思います。自分だけの問題ではなく、みんなが抱えている問題として理解することで、リスクを減らすことができるように思います。

私の会でも近い将来、医療について話し合えるような会を開けたらいいなと思いました。

※かとうぎ桜子のHPはこちら
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桜子のツイッター

プロフィール

かとうぎ桜子

Author:かとうぎ桜子
1980年生まれ。

保育士、ヘルパー2級、社会福祉士の資格を使って福祉の仕事をしてきました。
制度だけでは一人ひとりが安心して生活するまちを作るには不十分だと考え、誰もが安心できるまちのしくみ作りをしていきたいと考えています。

2007年4月の統一地方選で練馬区議会議員に初当選。

2010年3月、「市民参加と公共性―保育園民営化を契機として」と題する修士論文を書き、立教大学大学院・21世紀社会デザイン研究科を修了。

2011年4月 無所属で2期目に当選。

2011年末に子宮頸がんが見つかり、2012年春に円錐切除の手術をしました。その後は今のところ再発もなく元気に仕事しています。
この経験を活かし、がん検診の啓発など健康に関する課題にも取り組んでいこうとしています。

2015年4月、3期目に当選。

会派は市民ふくしフォーラム。

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