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「逃げ遅れる人々」上映会&飯田監督のお話

ご報告が遅くなりましたが、2月27日、大泉学園のゆめりあホールで「逃げ遅れる人々」の上映会を行いました。

「逃げ遅れる人々」は、東日本大震災で被災した障害のある方々がどんな苦労を強いられたのか、お話を聞いたドキュメンタリー映画です。(「逃げ遅れる人々」のHPはこちら

考えられる具体的な課題は、たとえば避難所がバリアフリーになっていないこと、障害によって体温調節が難しい人にとって気温差の激しい体育館の避難所での生活が厳しいこと、人工呼吸器など電源を必要とする人にとって大災害時のライフラインの不安定な環境は生命にかかわる問題であることなどがあります。
詳しくは前回のブログに書きましたので、ご覧下さい。


東日本大震災は、広範囲にわたる津波の被害や、原発事故によって長期にわたる避難生活を強いられるなどの特徴がありますから、この映画は(そしてその前の週に上映した「犬と猫と人間と2」も)原発事故によってどれだけの犠牲が発生したかを考えさせられる部分が多くあります。

また、東京との関連でいえば、東京で災害が起きて長期の避難生活が必要となる場合にも、同じように障害のある人ほど苦労を強いられることは考えられるという問題があります。
今回の震災の経験をふまえ、東京でもしっかりと準備をしておかなければなりません。


74分間の映画の上映の後、飯田基晴監督からお話を伺いました。
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まず、お話いただいたのは、映画を撮るにいたった経緯です。
一部ですがyoutubeに動画を載せています。(8分弱)→こちら

沿岸部で津波の被害にあった人のうち、障害のある人の数は障害のない人にくらべて2倍かそれ以上だったという数字が出ており、また、災害直後だけでなく、避難所生活でも仮設住宅の生活でも障害のない人以上に苦労を強いられ続けている。映画のタイトル「逃げ遅れる人々」は、過去の話ではなくて現在でも続いている課題である…といったお話をしてくださいました。

私からは、福祉避難所のしくみ、練馬区の状況などをお話しました。
練馬区ではようやく昨年12月に、福祉避難所に関する区全体のガイドラインができました。現在、区内37か所の福祉施設を、災害時の福祉避難所として指定しています。
まず、災害が起きて避難が必要になった場合は、どんな状態にある人も近所の小中学校に避難します。そこで医療が必要な人は医療救護所などに移送されますし、避難生活が困難な障害のある人、介護の必要な人はスタッフが判断した上で福祉避難所に移動することになります。

福祉避難所を必要とする人がどのくらいいるか、区役所の災害対策福祉部が集約し、割り振るという形になります。だから、逆に言えば障害のある人はすぐ近所に福祉施設があったとしても、すぐさまそこに避難することができるわけではないという不便さがあるというのも、福祉避難所の課題であるといえます。

練馬区としては、こうした基本的なガイドラインを作るところまでしかまだできていないので、各施設の物理的・人的な環境に応じて、どのくらいの避難者の受け入れが可能なのかという検証や、地域の人と協力する形での避難訓練を積み重ねる必要があります。


また、災害が起きたその地域にとどまるのではなく、いったん被災していない地域まで避難する方法もあります。旅館組合と協定を結んで、災害時の要援護者の受け入れについて協議している自治体もあるようですので、練馬区でも保養施設の活用や災害協定を結んでいる自治体との協力などを考えていく必要があると思います。


日本では残念ながら日ごろから障害のある人と一緒にいるという機会があまりありませんから、特に知的障害・精神障害・内部障害・聴覚障害など、見た目ではすぐに障害があると分からない人に対する配慮が不十分になってしまったり、当事者の方も声をあげづらいということも考えられます。

課題を挙げていくと、解決しなければならないことが膨大過ぎてどうしていいかわからなくなってしまいますが、普段なかなか交流する機会がない人同士、「防災」の切り口で知り合うきっかけになると前向きにとらえて取り組む必要があるのではないか。

そんな話をしました。

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参加者の皆さんからは、「一口に障害といっても色々な課題があるのだと思った」「障害を持って災害にあうという状態は、自分の身に起きてもおかしくないことだと思った」「ふだんから障害のある人が暮らしやすい地域であれば、災害の時にも苦労することが減るのではないか」といったご意見が出ていました。


以前のブログに書きましたが、飯田監督とのご縁は、10年前に飯田監督の作った「あしがらさん」というホームレスの方のドキュメンタリー映画を、当時私が通っていた福祉専門学校の文化祭で上映したことによります。
議員になってからは2008年にゆめりあホールで「あしがらさん」の上映会をしましたが、今回は久しぶりの企画でした。

久々に一緒に活動をしてみてとても楽しかったし、改めて路上生活の問題についても考えたい。今度はホールよりももう少し少人数のスペースで、みんなでディスカッションできるような会をやってもいいな…そんな話をしています。

平日の夜は皆さんなかなか参加しにくいなぁ…というのも今回しみじみ思いました。
今回お越しいただけなかった方も参加できるような機会を、今後作っていけたらと思います。

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(ロビーでは、飯田監督の作品のDVDやパンフレットのほか、南相馬ファクトリーの商品販売もしました。)

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桜子のツイッター

プロフィール

かとうぎ桜子

Author:かとうぎ桜子
1980年生まれ。

保育士、ヘルパー2級、社会福祉士の資格を使って福祉の仕事をしてきました。
制度だけでは一人ひとりが安心して生活するまちを作るには不十分だと考え、誰もが安心できるまちのしくみ作りをしていきたいと考えています。

2007年4月の統一地方選で練馬区議会議員に初当選。

2010年3月、「市民参加と公共性―保育園民営化を契機として」と題する修士論文を書き、立教大学大学院・21世紀社会デザイン研究科を修了。

2011年4月 無所属で2期目に当選。

2011年末に子宮頸がんが見つかり、2012年春に円錐切除の手術をしました。その後は今のところ再発もなく元気に仕事しています。
この経験を活かし、がん検診の啓発など健康に関する課題にも取り組んでいこうとしています。

2015年4月、3期目に当選。

会派は市民ふくしフォーラム。

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