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介護保険に関する国会集会

1月29日は、NPOが主催する国会集会に行きました。(詳細はこちら

ケアマネジャー、介護の事業所の人、介護をしている家族、家族を支える支援者、そして介護保険を利用している当事者等が、それぞれの立場から、今の介護保険について「もっとこうしてほしい」と提言をする集まりでした。
参議院の議員会館でやったので、皆の思いを国会議員が受け止める、という趣旨の集まり。

介護保険制度は崩壊しているんじゃないか、というのは、今度私が企画をしているボランタリーフォーラムのテーマとも重なるのですが。

2000年に介護保険が始まったときには、「介護が必要になっても、自分の住みたい場所に住んで、権利として介護を受け、家族とも良い関係を続け、誰に気兼ねすることなく人生を全うできるように」ということで制度が作られたはずだった。
でも、利用が伸びる中で、「不適正な利用は抑制しよう」という動きになって、2006年の改正でかなり厳しい状況になっている。

まだ体が動く軽度の人がヘルパーを使うのはかえって良くないからと、「介護予防で筋トレをしましょう」ということが言われる。とある福祉の大学の先生が「なんで80歳を過ぎてまで筋トレをしなくちゃならないんだ。そんな人生は俺はいやだ」と言っていましたが(^^;

でも実際には、介護度が軽いからヘルパーが必要ない、なんて簡単には言えるものではない。
例えば認知症の人は、はじめのうちは状態が軽いからということで、要介護認定を受けてもほとんどサービスが受けられない状態になってしまう。
家族も本人も「認知症」の診断を受けたショックもあるし、介護保険サービスは使えないし、という中に放置されてしまって、社会から見放されたような状態に置かれてしまう。

今回お話をしてくださった、介護保険の利用当事者の方は、いくつかの病気を抱えながらもなんとか自立した生活を送っている。でも、通院や散歩にヘルパーが付き添えないために、「自分と同じような病状の人は、外に出かけることもできずに閉じこもってしまわざるを得ないだろう」とおっしゃっていた。

軽度の人はサービスを受けさせないという状態を作ることで、逆に「早く重度になりなさい」と言っているようなものですね。机上で作られた制度だからなんでしょうね。サービスを受けることは、物理的な「介護」ということだけではなく、社会とつながる手段となるという視点が抜け落ちているのでしょう。


それから、介護職の給料が安くて、せっかく福祉系の学校を卒業しても、違う仕事についてしまう人がほとんどであるという意見も出ていました。介護をこれからも充実させていくためには、福祉を勉強している学生が希望を持てる条件を作らないといけない、と。
これは本当に最近よく聞く話で。そして私も、福祉の資格を取っていながら福祉の仕事を辞めてしまった一人なので、「ごめんなさい・・・」という気持ちになるのですが

確かに、私も給料は安かった。私は非常勤で働いていたことが多かったから、というのもあるけれど、15万もらったら「今月は良いお給料だなあ」と思っていたし、ボーナスという言葉は私の辞書にはなかった。
議員になってから生まれて初めてボーナスをもらったので、明細を見て目が飛び出ました。議員がもらうボーナスだけで、福祉の仕事をしてた時の私の年収と同じくらいだったから(^^;

私は4年間福祉の仕事をしている間、非常勤でいくつかの職場を掛け持っていることが多かったのでちょっと不規則ですが。でもボーナスがなくて月収15万くらいなんだから、年収は200万前後でした。

福祉の仕事をしながら一般企業並みにお給料をもらうためには、夜勤もやって、プライベートの時間も持ちにくいくらい働いて、「この利用者さんにとってこのケアプランの内容で本当に幸せなんだろうか」とか「この利用者さんはもっと地域に関わりたいんじゃなかろうか」なんて疑問が起きたとしてもそれは心の奥に押し込めて、介護保険の範囲外のことを要求されたら「規則ですからできません」と冷たくあしらい、完全に歯車として働くしかないんじゃないかと思うのです。

私はそれは絶対できないと思ったから、年収200万の道を選んだわけですが、年収をとるか、自分の信念をとるか、という辛い選択を迫られるのが福祉の仕事じゃないかなと思います。これは、介護の現場だけではなく、社会福祉協議会とかで働いている人も同じじゃないかな。


・・・上のは私の思いですが・・・。
今回の集会では、そんなことも含めて今の福祉の現場の非常に厳しい現状を、それぞれの立場から、短い時間で端的に訴えていらっしゃった。

すごいなあと思ったのは、当事者の方が発言されていたこと。「当事者の視点」は意外と抜け落ちがちなものだと思います。
ヘルパーの意見や家族の意見が、イコール当事者の意見ではない、ということを忘れてはいけませんね。

練馬区の保育園民間委託でも、主に保護者の方が訴えていらっしゃるけれど、実は本当の当事者は保護者ではなくて子ども達であるという視点は、意外と抜け落ちがちだと思います。委託にあたって子どもの声を聞いたのかしら、というのは、一部からは意見として出ていますが。
答弁によると、「保護者のニーズを満たすことが子どもの安定にもつながるだろうと判断している」そうですが、そんな考え方はとんでもない、言語道断な考えだと思いますけど。
・・・うーむ、保育園のことを思い出すとどうしても腹が立ってきてしまう

サービスを利用する当事者の声を最優先するというのは当たり前のことでありながら、福祉従事者でも抜けてしまいがちなので、今回の集まりで当事者がいたということが、とても意味を持っていたと思いました。


それぞれの思いを受けて、参加している国会議員が発言していらっしゃいましたが。
「政権交代すれば、必ず良い制度にします」なーんて意見があったりして。うーむ、なんというか、当事者や福祉従事者の切実さとちょっとずれてるんじゃないかしらん、と思ってしまった。・・・政権交代したい立場の人は、私の仲間にあたる立場の人たちではありますが(^^;
政権交代しようがしまいが、人は年をとって寿命を全うしていく。そのときに、人間らしい最期を迎えさせてくれ、と訴えている人に対して、「政権交代すればやります」って言うのは、どうなのかしらねえ・・・。


私は、議員同士で集うとか、「政治」について話す、というのが、どうもあんまり好きではなくて、なんでかなあと考えていました。
それが、今回の国会議員さんたちの発言を聞いていて、なんとなく理由がわかった気がします。

人が生まれて、色々あって、頑張って生きて、そして死んでいく。その流れの中に、いろんな人とのかかわりがあったり、そこに社会が形成されたりする。
その中で、少しでも生きやすくするためにはどうしたら良いのか、方法を考えるのが「政治」なんじゃないのかなあと思います。つまりは、政治は、人が生きていくための「手段」なんだと思います。政治そのものが「目的」ではない。

だから、私は議員としてやることは、議員仲間を増やすことでもなく、「政治」を語ることではなくて、練馬区に住んでいる一人ひとりの活動や人生を見て、その声に耳を傾けることなんじゃないかと思うのです。そこからおのずと、どんな政治をやるべきかが見えてくるんじゃないかと思う。

だから、生きる権利の保障を求めている人たちに対して、「政権交代したらやります」というのは、本末転倒じゃないかしら、となんだかとても違和感が・・・。


NPOで働いてきた私としては、今まではずっと「市民活動側が、自分の活動に満足するだけではなくて、社会を変えるためにもっと動かなくてはいけないんじゃないか」と思ってきましたが、今回の集まりに参加してみて、十分ソーシャルアクションをしている人たちはいるということが分かりました。
むしろ、その思いを受け止める立場にある議員や行政側が、どれだけその思いを正確に受け止められるかという問題があるのかなあとしみじみ思いました。

だからもっともっと勉強しなくては、と思っています。

※かとうぎ桜子を育てる会のホームページは
こちら

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プロフィール

かとうぎ桜子

Author:かとうぎ桜子
1980年生まれ。

保育士、ヘルパー2級、社会福祉士の資格を使って福祉の仕事をしてきました。
制度だけでは一人ひとりが安心して生活するまちを作るには不十分だと考え、誰もが安心できるまちのしくみ作りをしていきたいと考えています。

2007年4月の統一地方選で練馬区議会議員に初当選。

2010年3月、「市民参加と公共性―保育園民営化を契機として」と題する修士論文を書き、立教大学大学院・21世紀社会デザイン研究科を修了。

2011年4月 無所属で2期目に当選。

2011年末に子宮頸がんが見つかり、2012年春に円錐切除の手術をしました。その後は今のところ再発もなく元気に仕事しています。
この経験を活かし、がん検診の啓発など健康に関する課題にも取り組んでいこうとしています。

2015年4月、3期目に当選。

会派は市民ふくしフォーラム。

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