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決算―重度障害者の訪問介護

私は議員になるまで、ALSという病気の方の訪問介護をやっていました。

ALS―筋萎縮性側索硬化症という難病。
神経の難病で、だんだん体が動かなくなってしまう。食事の飲み込み、呼吸、しゃべること・・・病気が進行するとできなくなってきてしまう。
認知機能は衰えないのに体が動かなくなってしまう。

じゃあどうやって自分の意思を伝えるのか。あごの動きや目の瞬きでセンサーを操りパソコンを使っている人もいらっしゃる。
透明のプラスチックに「あいうえお」の50音が並んでいて、その文字を見つめて瞬きで合図することによって介助者に読み取ってもらうという方法をとる人もいる。

自発呼吸が難しくなると、喉の辺り―気管を切開して人工呼吸器をつける。
健康ならば無意識にやっている「痰を出す」ということも自力でできないので、痰がたまるとむせたような状態になってしまう。だから、吸引が必要。

人工呼吸器が外れたら息ができないので、あまりに長いこと気づいてもらえないと死んでしまうけれども、声も出せない、自分で動けないから、誰か気づいて!と思うしかない。


そんな、まだ完治の方法が見つかっていない難病の患者さんでした。

社会福祉士の学校に通っていた頃から、月に数回ではありましたが訪問していて、間はデイサービスに就職した時期もあったりしたけれども、その時期を除いたら3年弱、ALSの介護をしていたことになります。

私の利用者さんは練馬区外にお住まいの方。(都内ですけど)
お一人の方は高野山が大好きな方で、毎年秋になると家族と一緒に高野山の旅行に行く。

ヘルパーが何人かと、あとはボランティアさんを募って、一緒に出かける。

高野山なんて、文字通り「山」ですから、バリアだらけです(^^;

でも、お寺の中に入って拝みたいという希望に、皆でよっこらしょと車椅子を持ち上げて入る。

現地のガイドさんは最初は、「あ、ここは車椅子は無理よ」とさっさか諦めて行ってしまおうとするんだけれど、「いやいや、本人が行きたいところには何としても行こう」と皆でよいしょと車椅子を持ち上げる。人工呼吸器と携帯用吸引機が乗っている車椅子だし、背もたれも頭のところまである大きなものだから重いわけですが。
でもそれを何度も繰り返すうちにそのうちガイドさんもそれが当たり前になってきて、「ちょっと段差があるけど、あっちからだと少しは行きやすいかも」なんて、工夫をしてくださるようになる。

学生時代に一度、一緒についていって見たその光景は、とても新鮮でした。

バリアは極力ないほうが良い。
でも、諦めてしまう心のバリアさえなければ、物理的なバリアは取り除けるんじゃないか、ということに気づいたのでした。

そして、周りの人の心のバリアを取り除きながら、障害のある人が社会に参加して行くことを支えるのが、福祉の仕事なんだなーと思いました。




今日のブログでとりあげたのはALSのことですが、他にもたくさんの障害があって、人によって支援してほしい状況も異なる。

でも、練馬区はどんなに重い障害を持とうと、どんな家族状況、住宅状況であろうと、最高で使える時間数が一律14時間までの訪問介護であるということが分かりました。
もっと前には20時間を超える支給もしていたようなのですが、平成15年に障害者に「支援費制度」というのができた頃から「上限14時間」を設けたという流れのようです。この頃、他区の状況を調べてみたら、平均14時間程度の支給をしていたから、練馬もそこをラインにした、と答弁される。

それから、「国庫負担基準」というのがあって、国から出るお金が一定の割合までとされているから、区としての支出も一定の制限を設けざるを得ないんだと。

そうはいっても、1日は24時間あるわけです。
それじゃあ残りの10時間はどうやって生活しているのでしょう。
実際にはどうやら、家族がやったり、訪問している事業所がボランティア状態でやっている場合もあるようです。


厚生労働省は、国庫負担基準を定めている一方で、
国庫負担基準は、あくまで国が市町村の給付費の支弁額に対して国庫負担する際の一人当たりの基準額であり、当該基準額が個々の利用者に対する支給量の上限となるものではない

支給決定基準を適用して支給量を定めることが適当でないと判断される場合は、支給決定案について市町村審査会の意見を聞いた上で個別に適切な支給量を定めること

という見解を出しています。(平成18年6月26日障害保健福祉関係主管課長会議資料より)

国で上限を定めながら、あとは市町村でちゃんとやれ、というのはそもそもおかしな話だと思います。
福祉はただの「お買い物」とは違うんだから、個別のニーズに合わせて必要な福祉サービスを提供するのは、生存権の保障にも関わることです。

だけどそれにしても、要綱でもって上限を1日14時間なんて定めているのは練馬区以外に今のところ見つかりません。どんな状況でも上限は14時間だから、審査会を開いて検討することもやっていない。
こんな、生存権を犯しかねない要綱があって良いんでしょうか。上記の国の方針とさえ、外れていますよね。

色々と問題の多い障害者自立支援法ではありますが、その第2条には市町村等の責務がかかれています。法律って読みにくいけど、原文をそのまま書きます。特に注目していただきたい点には下線をつけました。

障害者が自ら選択した場所に居住し、又は障害者もしくは障害児がその有する能力及び適正に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、当該市町村の区域における障害者等の生活の実態を把握した上で、公共職業安定所その他の職業リハビリテーションの措置を実施する機関、教育機関その他の関係機関との緊密な連携を図りつつ、必要な自立支援給付及び地域生活支援事業を総合的かつ計画的に行うこと

上限が一律14時間というのは、法にある市町村の責務を果たしていることになるでしょうか。非常に疑問を感じます。

練馬区に住む当事者の声をよく聞き、市町村の責務を果たしていくべきです。

現場を大切にする練馬区を目指したいですね。

※かとうぎ桜子を育てる会のHPはこちら

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プロフィール

かとうぎ桜子

Author:かとうぎ桜子
1980年生まれ。

保育士、ヘルパー2級、社会福祉士の資格を使って福祉の仕事をしてきました。
制度だけでは一人ひとりが安心して生活するまちを作るには不十分だと考え、誰もが安心できるまちのしくみ作りをしていきたいと考えています。

2007年4月の統一地方選で練馬区議会議員に初当選。

2010年3月、「市民参加と公共性―保育園民営化を契機として」と題する修士論文を書き、立教大学大学院・21世紀社会デザイン研究科を修了。

2011年4月 無所属で2期目に当選。

2011年末に子宮頸がんが見つかり、2012年春に円錐切除の手術をしました。その後は今のところ再発もなく元気に仕事しています。
この経験を活かし、がん検診の啓発など健康に関する課題にも取り組んでいこうとしています。

2015年4月、3期目に当選。

会派は市民ふくしフォーラム。

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