Entries

決算;産業地域振興費(その2) 地区区民館と協働

「協働」という、最近よく使われる言葉があります。

「行政とNPO」とか、「企業とNPO」とか、異なる主体が一つの目標に向かって対等に協力し合っていくのが「協働」です。

地域の中にいろんなニーズがあって、制度だけでは賄いきれないこともあって、行政だけでは気づくことができないニーズを掘り起こすのも、地域にいる人、活動団体の力によるところが大きい。
だから、それぞれの組織、それぞれの立場の長所を生かしていきましょう、というのが「協働」なんですね。


その、理念的な部分は「まあ、素敵」という考えなわけですが、じゃあ具体的に「協働」を実現するにはどうしたらいいのか・・・というのがなかなか難しい。


今回、私が質問したのは、「地区区民館」についてでした。
区内には、区民が集まれる施設として、地区区民館、区民館、地域集会所があります。
区民館は出張所に併設されていて、会議室等の貸し館機能を持っている。
地区区民館は、コミュニティの育成を目的にしていて、地域住民を中心とした運営委員会をおいて活動している施設。
地域集会所は、地区区民館と役割は似ているけれど、地区区民館の無い地域に設置された施設らしい。

設置された時期や意図、根拠となる条例がそれぞれ異なるけれども、これではなかなか区民から分かりにくいんではないか・・・ということで、今、「地域集会施設を更にわかりやすく、使いやすくするための機能統一化実施計画(案)」というのが出されている。
ここで、3つの施設の機能を整理しようということ。

分かりやすくなったほうが良いとは思うけれども、気になるのは、この計画は貸し館機能というハード面を中心にしていること。
私としては、地域の中にある施設の、コミュニティ機能についてもっともっと重視すべきなのではないかと思う。

区民館については、出張所の再編の際に、「出張所のコミュニティ機能とあわせた形で、区民館の利用者からニーズを吸い上げていくことが必要ではないか」という意見を言っていましたが、地区区民館も気になるところです。

地区区民館には敬老館の役割、学童クラブの役割、そしてそれ以外にも地域の人が集まれるような役割があります。
その館を運営するのに、町会の方などを入れて地域の方を中心にしている運営委員会が大きな役割を果たしているわけですが、最近はこの館の実際の業務も委託しているらしい。

資料を貰って見てみると、窓口対応だとか、高齢者の見守りだとか、かなり接客的な仕事も含めて委託をしている。
これは、地区区民館のサービスの質にもかかわることだし、委託を受ける側にとっても覚悟と負担のある仕事であるといえる。
地域の中の施設に運営委員会として関わる、という形は、コミュニティの活性化に役立つといえるかもしれないけれど、それと業務委託は別のこと。

なんで、施設の意義の根幹に関わるようなところまで委託しようとしているんだろうか・・・とさらに資料を読んでいくと、「地域住民との協働をさらに推進するため、平成18年度より委託業務の拡大をおこなった」と書いてありました。

保育園の民間委託の説明会の時に、保護者が「どんな事業者を選ぶべきなのか、一緒に考える時間を作ってください」と言うと、部長が、「委託は行政が主体なんです。最終的な決断は行政がします」と突っぱねてきたのを私は見ていました。

一緒に考えましょう、というのを突っぱねるのが「委託」ならば、それは「協働」ではないはずです。
協働は、異なる主体が対等な立場で関わりあうことなんですから。

だから、なぜ地区区民館を委託することが協働になるのかがさっぱり分かりません。

そこで決算委員会でも質問したのです。
以下、一部を録音から抜粋します。

---------------------------------------
桜子
事前にいただいた資料の中に、昼間の委託をしていくことは「地域住民との協働をさらに進めるために拡大していった」という風にあるのですけれども、この「委託」というのは―地区区民館のことに限らないと思いますけど―行政が事業内容を指定して、行政主体でやっていくというものであって。
一方で、「協働」というのは、行政と区民の人が対等にやっていくものだ、っていう風に考えると、「委託」と「協働」って同列に並べられるものではないと思うのですけれども。
昼間の委託を進めることが、地域住民と協働になる理由を教えてください。

課長
区民のみなさん、あるいは運営委員会との協働をするという形の中で、委託というのは方法でございまして、手段として委託という方法を採っている。形として実質的には区の職員と運営委員会が協働で事業をするという中身になってございますので、あくまでも委託というのは、そういう形の方式という風に考えてございます。

桜子
これは地区区民館のことだけじゃないかも知れないのですけれども、練馬区としては、「協働」と「委託」は同じものだというふうに考えていらっしゃるのかを確認させてください。

部長
協働というのがどういう形態なのかというご質問でございます。私ども、協働というのは形態が7つあろうかと思っています。
1つは「政策提言や政策形成過程の参画」。
それから2つ目、「事業協力」。
3つ目「共催」
4つ目が「実行委員会や協議会の方式」。
それから5つ目が「後援名義」。
そのほか、6つ目が「助成金」。
そして7つ目の方式として「委託」というのがあるというのが、この考えでございます。
以上でございます。
------------------------------------------------------------

「7つあります」と言われた時点で、私の頭の中には「からす なぜ鳴くの からすは山に かわいい7つの子があるからよ」という音楽が流れました 7つかぁ・・・と
しかも、7つを眺めてみると、「この形態が対等な関係なのかなあ・・・」と思うものが多いですよね・・・。

確かに、他の自治体でも委託を協働に入れているところは多いみたいです。練馬区が特別にヘンチクリンなわけではないんだと思う。
だけど、そもそも協働とは何なのか、何のために協働を言わないといけない社会状況になったのか、と考えた時に、そんな、断言的に言うべきことではないはずだと私は思います。

たしかに、「練馬区NPOとの協働指針」では、上記の7つが書いてあります。
でも一方で、協働のあり方については、今もまだ検討中であると、今定例会の一般質問での答弁にもあったのです。

だから、まさかそんなにさっぱりと、「委託は協働です」という答弁をしてくれようとは思わなかったので、あまりのショックに、私の顔はハニワのようになっていたに違いありません。質問のために持っていた資料を、はらはらと落とさなかったのが不思議なほど、動揺しました(^^;


私の考えを補完するため、以下、いくつかの文献から引用をします。

協働のあり方は、それぞれの地域がおかれた政治的風土や社会経済的条件に応じて、多様なあり方が考えられる。しかしながら、日本における行政機関への権力の集中化と官僚機構の機能から考えた場合には、この協働のあり方はこうした権力集中と住民参加の状況を相対化していくための社会運動としての側面を持っていることを考えると、可能な限り、市民活動団体の自律性を生かし、対等性の観点からその権限の正当な確保を指向して基本姿勢が求められるべきであろう。この合意に立たない協働論は、どちらの立場から見てもいわゆる「下請け論」から脱することはできない。
(「市民と行政との協働に関わる主体性と関係性」瀧澤利行 『NPOと行政のパートナーシップは成り立つか!?』東京ボランティア?市民活動センター)

NPOは社会サービスのためだけに登場してきた組織ではない。それだけを行っていたのでは、体のいい安上がりの(行政の)下請けになりかねない危険とたえず隣合せである。協働にはそうした陥穽もあり、残念ながらそれが現実になっている場合も少なくないといってよい。そこで大切なのが、第二の役割としての現場からのアドボカシー(注;提言?提案を含む一連の具体的アクション)であり・・・(以下省略)(「自治体とNPOの「連携」による二一世紀社会デザインとその課題」中村陽一 『月刊自治フォーラム』2007年4月号)

民間委託のあり方についてはまた改めて私のブログでも、考える機会を作りたいと思っていますが、「協働」のあり方についても同様に、一度立ち止まって、区民の皆さんとともにそのあり方を見直す必要を感じます。

※かとうぎ桜子を育てる会のHPはこちら

0件のコメント

コメントの投稿

新規

投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

0件のトラックバック

トラックバックURL
http://sakurakohappysociety.blog56.fc2.com/tb.php/288-f0cb87c2
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

Appendix

桜子のツイッター

プロフィール

かとうぎ桜子

Author:かとうぎ桜子
1980年生まれ。

保育士、ヘルパー2級、社会福祉士の資格を使って福祉の仕事をしてきました。
制度だけでは一人ひとりが安心して生活するまちを作るには不十分だと考え、誰もが安心できるまちのしくみ作りをしていきたいと考えています。

2007年4月の統一地方選で練馬区議会議員に初当選。

2010年3月、「市民参加と公共性―保育園民営化を契機として」と題する修士論文を書き、立教大学大学院・21世紀社会デザイン研究科を修了。

2011年4月 無所属で2期目に当選。

2011年末に子宮頸がんが見つかり、2012年春に円錐切除の手術をしました。その後は今のところ再発もなく元気に仕事しています。
この経験を活かし、がん検診の啓発など健康に関する課題にも取り組んでいこうとしています。

2015年4月、3期目に当選。

会派は市民ふくしフォーラム。

カレンダー

11 | 2019/12 | 01
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

過去ログ