Entries
ホームヘルパー2級の話から
浜松からとんぼ帰りをしてきました。
昨日のブログだとちょっと分かりにくかったみたいなので、補足説明。
ホームヘルパー2級という資格がありましてね。
特に試験があるわけではなくて、一定の講義と実習を受けさえすれば取れる資格なんです。
講義が60時間、実技が42時間、実習が30時間、というきまりだとかで。
講義というのは、「バリアフリーを最初に言い始めたのはデンマークの人なのよ」とか、「介護保険ってこういう制度なのよ」とかを、座学で学ぶわけですね。
実技というのは、シーツの敷き方、オムツのつけ方、しびんのあて方、体位交換(→寝返りを打たせること)のしかた、ベッドから車椅子への移乗のしかたなどを、実際に習うことです。
で、実習は、実際に施設に行って学ぶこと。
これらをこなすと、ホームヘルパー2級という資格がもらえます。
運転免許のような、確認試験なんかもない。
講座を開いているのは民間の会社なので、内容も受講料も幅があるのですが、だいたい10万円前後で1~3ヶ月で取れる。
卒業試験がありませんから、たとえ介護職としての適性がなくても、学んだことが頭にまったく入っていなくても、資格は取れます。
民間の会社がやっているわけですから、10万くらいの受講料を払った大事なお客さんを落とすわけがない。
介護という、人の命を預かる職種でありながら、あまりにも簡単に取れすぎるということに、昔から腹が立っています。それだけ、介護の仕事が軽く低く見られてきた証でしょう。
せめて人の命に関わるという点で、仮免許と最終に、合格するまでは認めない運転免許証と同程度の厳しさはあるべきだと思います。
実習だって、30時間ということは、5日間で終わるんですよ。一方で、教員免許を取る際に必修の「介護等体験」は7日間。教員の介護体験より短いって、どういうことだ・・・。
今はヘルパーはなくして、介護福祉士へと一本化する方向に向かっているようですが、そうすべきだと思います。
とまあ、これだけ言うのは、私がこのホームヘルパー2級をもっているからなんですねぇ。
大学4年の夏休みに取りました。
今回、浜松で結婚したのは、この講習を一緒に受けていた仲間だったというわけです。
今から7年ほど前、3ヶ月くらいの時間を一緒に過ごした仲間です。
講習を受けていた人は、30代で転職をしたいという人と、あとは50代が多かったような記憶。50代の人は、親の介護に生かしたいという人が多かったですね。
20人強のクラスで、結構仲良くしていましたが、今でも連絡を取れるのは5人くらい。
結婚式で再会したら、「加藤木さんももう30歳近いのか。あの頃はまだ大学生だったのに、ずいぶん大きくなったねえ」と言われましたが
そんなわけで、今では会うのも何年かに1回になっちゃっていますが、数年ぶりに会うと気づくことが色々とあります。
今でも介護の仕事をしている人がほとんどなのですが、ちょっとした言葉の端々に「利用者がわがままで困っちゃう」とか、「上司は地域との交流事業をやりたがっているけど、業務が忙しいのに・・・」というような言葉がふっと出てきて、私なんぞはビックリしてしまうのです。
一緒に学んだ頃には、そういう価値観を持ってる人だったっけ・・・?と。
違和感を感じつつも、でも、私は今では介護の仕事からはほとんど離れてしまっているから、頭ごなしに「その考えはおかしいよ」というのでは何も解決しないとも思って、悩んでしまいます。
これは、ひとつには、冒頭で説明したホームヘルパー2級の養成課程の問題もあると思うし、それから介護職自身が自らの生理的欲求を満たすことができないほど忙しいために、他者への思いやりを持つ余裕がないこともあるかなと思います。トイレに行きたくても我慢して走り回ったり、睡眠時間や休息を取れない状態では、誰だって周りへの気遣いは難しくなりますよね。
だから、介護の事業所や施設が、利用者の人権に配慮し、地域に開かれたものになっていくためには、とても長い道のりがあると思います。
トップが頑張るだけでは、現場の職員までに広がるにはとても時間がかかるし、ずれがある場合もある。
ここで練馬区に戻って考えてみると、介護保険運営協議会などで介護の事業所の代表に話を聞く場はあっても、現場の職員一人ひとりから話を聞く場はないと思います。そうすると、現場の人が何を考え、どこに壁を感じているかということが、制度に生かされないのではないかと思う。
ヘルパーには、上記に書いたようにヘルパー独特な問題点もあると思いますが、それだけではなくて、実際に現場に関わっている多くの人に話を聞かないと、制度は机上のものになるという問題点も見てくると思います。
つまりこれは介護に限らず、保育でも、教育でも同じではないかと。
それから、子どもの保護者から話を聞くときも〔保護者代表〕に聞く場合が多いでしょう。光が丘の学校の統廃合の時も、「統合準備会で保護者からの意見を聞いています」というんだけれど、その会に入っている保護者はほんの数人なわけです。
それでは、一定程度の現状の反映はできても、もっと混沌とした、多様な現場の声を聞き取ることはできないのではないかと思うのです。
具体的な方法は、そのつど探っていくしかないとは思うのですが、代表者からの意見だけを聞いて「区民の意見を反映しました」というシステムからは脱却していかないと、真の住民自治には近づけないように思います。
※かとうぎ桜子のHPはこちら
昨日のブログだとちょっと分かりにくかったみたいなので、補足説明。
ホームヘルパー2級という資格がありましてね。
特に試験があるわけではなくて、一定の講義と実習を受けさえすれば取れる資格なんです。
講義が60時間、実技が42時間、実習が30時間、というきまりだとかで。
講義というのは、「バリアフリーを最初に言い始めたのはデンマークの人なのよ」とか、「介護保険ってこういう制度なのよ」とかを、座学で学ぶわけですね。
実技というのは、シーツの敷き方、オムツのつけ方、しびんのあて方、体位交換(→寝返りを打たせること)のしかた、ベッドから車椅子への移乗のしかたなどを、実際に習うことです。
で、実習は、実際に施設に行って学ぶこと。
これらをこなすと、ホームヘルパー2級という資格がもらえます。
運転免許のような、確認試験なんかもない。
講座を開いているのは民間の会社なので、内容も受講料も幅があるのですが、だいたい10万円前後で1~3ヶ月で取れる。
卒業試験がありませんから、たとえ介護職としての適性がなくても、学んだことが頭にまったく入っていなくても、資格は取れます。
民間の会社がやっているわけですから、10万くらいの受講料を払った大事なお客さんを落とすわけがない。
介護という、人の命を預かる職種でありながら、あまりにも簡単に取れすぎるということに、昔から腹が立っています。それだけ、介護の仕事が軽く低く見られてきた証でしょう。
せめて人の命に関わるという点で、仮免許と最終に、合格するまでは認めない運転免許証と同程度の厳しさはあるべきだと思います。
実習だって、30時間ということは、5日間で終わるんですよ。一方で、教員免許を取る際に必修の「介護等体験」は7日間。教員の介護体験より短いって、どういうことだ・・・。
今はヘルパーはなくして、介護福祉士へと一本化する方向に向かっているようですが、そうすべきだと思います。
とまあ、これだけ言うのは、私がこのホームヘルパー2級をもっているからなんですねぇ。
大学4年の夏休みに取りました。
今回、浜松で結婚したのは、この講習を一緒に受けていた仲間だったというわけです。
今から7年ほど前、3ヶ月くらいの時間を一緒に過ごした仲間です。
講習を受けていた人は、30代で転職をしたいという人と、あとは50代が多かったような記憶。50代の人は、親の介護に生かしたいという人が多かったですね。
20人強のクラスで、結構仲良くしていましたが、今でも連絡を取れるのは5人くらい。
結婚式で再会したら、「加藤木さんももう30歳近いのか。あの頃はまだ大学生だったのに、ずいぶん大きくなったねえ」と言われましたが

そんなわけで、今では会うのも何年かに1回になっちゃっていますが、数年ぶりに会うと気づくことが色々とあります。
今でも介護の仕事をしている人がほとんどなのですが、ちょっとした言葉の端々に「利用者がわがままで困っちゃう」とか、「上司は地域との交流事業をやりたがっているけど、業務が忙しいのに・・・」というような言葉がふっと出てきて、私なんぞはビックリしてしまうのです。
一緒に学んだ頃には、そういう価値観を持ってる人だったっけ・・・?と。
違和感を感じつつも、でも、私は今では介護の仕事からはほとんど離れてしまっているから、頭ごなしに「その考えはおかしいよ」というのでは何も解決しないとも思って、悩んでしまいます。
これは、ひとつには、冒頭で説明したホームヘルパー2級の養成課程の問題もあると思うし、それから介護職自身が自らの生理的欲求を満たすことができないほど忙しいために、他者への思いやりを持つ余裕がないこともあるかなと思います。トイレに行きたくても我慢して走り回ったり、睡眠時間や休息を取れない状態では、誰だって周りへの気遣いは難しくなりますよね。
だから、介護の事業所や施設が、利用者の人権に配慮し、地域に開かれたものになっていくためには、とても長い道のりがあると思います。
トップが頑張るだけでは、現場の職員までに広がるにはとても時間がかかるし、ずれがある場合もある。
ここで練馬区に戻って考えてみると、介護保険運営協議会などで介護の事業所の代表に話を聞く場はあっても、現場の職員一人ひとりから話を聞く場はないと思います。そうすると、現場の人が何を考え、どこに壁を感じているかということが、制度に生かされないのではないかと思う。
ヘルパーには、上記に書いたようにヘルパー独特な問題点もあると思いますが、それだけではなくて、実際に現場に関わっている多くの人に話を聞かないと、制度は机上のものになるという問題点も見てくると思います。
つまりこれは介護に限らず、保育でも、教育でも同じではないかと。
それから、子どもの保護者から話を聞くときも〔保護者代表〕に聞く場合が多いでしょう。光が丘の学校の統廃合の時も、「統合準備会で保護者からの意見を聞いています」というんだけれど、その会に入っている保護者はほんの数人なわけです。
それでは、一定程度の現状の反映はできても、もっと混沌とした、多様な現場の声を聞き取ることはできないのではないかと思うのです。
具体的な方法は、そのつど探っていくしかないとは思うのですが、代表者からの意見だけを聞いて「区民の意見を反映しました」というシステムからは脱却していかないと、真の住民自治には近づけないように思います。
※かとうぎ桜子のHPはこちら
2件のコメント
[C274] ヘルパー2級について
- 2009-09-23
- 編集
[C276] Re: ヘルパー2級について
三毛田猫男さん
返信が遅くなってすみません。ようやく仕事に一区切りがつきましたもので・・・(T。T)
さて、ジャズの会についてですが、ちょっと分かりにくいのですけれど以下のブログの真中あたりに書いてあります。
http://sakurakohappysociety.blog56.fc2.com/blog-entry-405.html
ぜひいらしてください。
介護従事者の処遇については、今回の議会でも少し質問をしたので、また改めてブログに書きたいと思いますが・・・人材が足りないから簡単に取れる資格を作るというのは、介護保険ができたばかりの頃はそれでも良かったかもしれませんが、その結果、まったく定着してないですからねぇ。ヘルパーの資格を持っている人はたくさんいると思いますが、どれだけの人が仕事を続けているかというところが問題ですね。
従事者も事業者も、課題を社会に発信できる力をどうやって持っていくかが重要なのではないかなあと思っているところです。
返信が遅くなってすみません。ようやく仕事に一区切りがつきましたもので・・・(T。T)
さて、ジャズの会についてですが、ちょっと分かりにくいのですけれど以下のブログの真中あたりに書いてあります。
http://sakurakohappysociety.blog56.fc2.com/blog-entry-405.html
ぜひいらしてください。
介護従事者の処遇については、今回の議会でも少し質問をしたので、また改めてブログに書きたいと思いますが・・・人材が足りないから簡単に取れる資格を作るというのは、介護保険ができたばかりの頃はそれでも良かったかもしれませんが、その結果、まったく定着してないですからねぇ。ヘルパーの資格を持っている人はたくさんいると思いますが、どれだけの人が仕事を続けているかというところが問題ですね。
従事者も事業者も、課題を社会に発信できる力をどうやって持っていくかが重要なのではないかなあと思っているところです。
- 2009-10-11
- 編集
コメントの投稿
0件のトラックバック
- トラックバックURL
- http://sakurakohappysociety.blog56.fc2.com/tb.php/406-7e79d49f
- この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)
ことからお答えします。
>家族にはこれに近い名前でいつも呼ばれておりますけれども…
〉ほほう!どういうことでしょう(笑)
〉猫が好きなのですか?それとも猫に似ているんですか?(^^;
私は猫には似ておりませんが、猫が大好きで猫の鳴き声をすると昔は野良猫たちが
寄ってきました。今はあまり猫と接する機会はありません。そこから呼ばれたのだと
思います。最近はさときちさんに癒されております(検索してみてください)。
かとうぎさんも多忙な日々を送っているようでお疲れ様です。私も先月から今月に
かけ、ソウルに10日近く出張(統計ソフトの講習)したり、ある自治体で衆院選の事
務に従事したり、投稿論文の執筆と提出、学会発表とかなり忙しかったです。先週
よりようやく落ち着いてきたところです。それでも、今後は研究プロジェクトの業務に
携わらなければならないのでまた忙しくなりそうです。
かとうぎさんもご指摘しているように、ヘルパー2級の取得方法には問題があるので
はと思っております。うちの母も一昨年、仕事をしながら取得し、その業界に転職をし
たのですが、業務に見合ったお給料が出ないということをよく言っております。実際に
ヘルパーのお仕事はお給料が少ないことや夜勤、重労働(体を持ち上げたりする介
助)が多いことから、実際に資格を取得してもならなかったり、就業しても中途退職
や転職が多いということを聞いております。
その原因はヘルパーそのものが医師や看護師、介護福祉士といった専門職より
曖昧な位置づけがなされていることや、簡単に資格が取れてしまうことにあるの
ではないかと思っております。しかし実際の現場では、ヘルパーが不足している
事業所や老人ホームが多いので、需要が多い=簡単に資格を取れる、といった
図式が成立していないと労働市場が成り立たないかもしれません。
〉せめて人の命に関わるという点で、仮免許と最終に、合格するまでは認めない
〉運転免許証と同程度の厳しさはあるべきだと思います。
私も同感です。私も専修の教員免許(但しペーパー)をもっており、大学時代に
介護等体験(養護学校2日と介護施設5+1日(+1はボランティア))をしましたが、
9-17時まできっちり拘束されました。それでも、長い時間実習をした価値は、教員
に就く就かないの有無に関わらず貴重な経験で、そこで社会にハンディキャップを
持つ人を介助する意味とか、本人がその仕事に向いているのかという適性を知るの
に重要なのではと思います。最低限、ヘルパーの資格を更新制にするとか、給料
を増やす代わりに、より厳格で専門性の高い資格を作るとかすればいいのでは
ないかと期待しております(時間があれば、次回以降に介護等体験の話をしようかと
思います)。
最後にですが、最近のブログにて毎日お酒を嗜んでいるけれども、疲れて飲まな
かった日があったということが書かれておりましたが、体調は回復なされましたか。
また、もし時間があれば12月の催し(忘年会?)に参加したいと考えておりますので、
詳しいことが決まりましたらアナウンスしてくださると大変ありがたく思います。それ
では、よろしくお願い致します。