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修士論文の内容①
★これからだんだん暖かくなるようですが、ここのところ寒かったですね。
朝の駅でレポートを配布していると、たまに何かをくださる人がいらっしゃいます。キャンディとか、以前ブログにも書いたように飲み物をくださったりとか。ご自身の著書をくださった方もいらっしゃいました。
15日の月曜日には、「あらまあ!寒いでしょう!」と言いながら、ご自身の背中に貼っていたカイロをベリベリっとはがしてくださった女性がいました(^^;
お気持ちがありがたいですね。
★修士論文の要約をHPにアップしました。こちら。
一度、紙媒体にしたものを改めてスキャンしなおしたこともあって、字体を見るからに読む気をなくすような感じですが
一応、この概要版に何が書いてあるのかを簡単にご紹介します。
1,2ページは大学院に提出した要約です。約5万字を2ページに収めているのです。
それで、3ページ目以降は私自身が頭を整理するために図などを使って章ごとのまとめをしたものです。
私が議員になった年に区立保育園民営化の問題に出会って、あまりにひどい状況だったものだから、課題を整理したいなというのがきっかけで論文を書きました。練馬の保育園民営化は今でもひどい状況ですが・・・。
第1章は、保育園のことだけではなくて、色々な公共サービスに「民間の活力を導入する」という方向に向かった歴史的経過を整理しました。
1980年代、私が生まれた頃に第二次臨時行政調査会というのが行われて、行政は何をすべきか、民間との関係はどうすべきかということが議論されていたんですね。この頃から、行政が規制するのではなくて民間の活力を活かせば社会は良くなるんだという新自由主義的な発想があったわけですが、しかし福祉の分野は制度的に「行政の措置」という形がとられていたので、ほとんど手をつけられなかったのです。
それが90年代後半以降になって、指定管理者制度とか、「民間活力の導入」のための新たな手法が生みだされてきます。
その時期に、福祉についても「社会福祉基礎構造改革」というのが行われて、民間が入ってきやすい制度改正が行われてきたわけです。
みなさんにとって一番身近なのは、2000年にできた介護保険制度でしょう。
障害者の分野も介護と同様に2003年に支援費制度、2006年に障害者自立支援法という形で制度が変わってきます。
これらの制度は、福祉の事業を行政ではなく民間が担い、そして契約も事業者と利用者が直接結ぶということに特徴があります。これが、「行政の措置を受けるのではなく、契約を結ぶことによって利用者が主体的な選択をすることができる」と謳われたわけですね。
しかし、事業者が充分に安定して運営できるだけのしくみになっていなければ良質な業者は増えないのです。収入源は介護報酬等だけになるので、一般のお店のように、事業者の努力で売り上げが増えるわけではないのですから。
それに、選択できるだけの量が十分でなければ利用者にとっても本当の意味での「選択」にはならないわけです。
たとえば特別養護老人ホームなんか、練馬区内だけで2500人以上の待機者がいるというのに、選択なんかできないでしょう。
このような現実を見ていると、結局、社会福祉基礎構造改革は利用者にも事業者にもメリットがなくて、公的な責任を放棄しただけのように見えます。
これと同様の問題が、同時期に、保育園にも起きているのです。
まず、保育園の運営主体は公立か社会福祉法人が基本だったのですが、2000年に社会福祉法人以外(NPOや株式会社)の参入が可能になりました。そして2001年には待機児解消を名目にして公立保育園の民営化を推進しましょうということが言われました。今までのままだと受け入れられる子どもの数に限りがあるから、株式会社なども含めて多様な主体で担うことによって受け皿を増やしましょうということですね。
受け皿を増やすといったって、担い手がどれだけいるのか、質の担保はどうするのかということが気になるところですが、さらに「骨太の方針」で保育園に出す国庫支出金を一般財源化するということが行われて、保育園は財政的にも厳しい方向に追いやられていくわけです。
公立保育園民営化の背景には、こういう事情があるわけですね。
論文の概要をできるだけわかりやすく、全部いっぺんに書こうかと思いましたが、すでにだいぶややこしくなってきた気がするので、続きは次回にします。
第2章では、公立保育園の民営化について具体的な事例をとりあげて書きました。
練馬のほかに、横浜、葛飾、文京です。
次回のブログでは、これらの事例で見えてきたことをご報告したいと思います。
※かとうぎ桜子のHPはこちら
朝の駅でレポートを配布していると、たまに何かをくださる人がいらっしゃいます。キャンディとか、以前ブログにも書いたように飲み物をくださったりとか。ご自身の著書をくださった方もいらっしゃいました。
15日の月曜日には、「あらまあ!寒いでしょう!」と言いながら、ご自身の背中に貼っていたカイロをベリベリっとはがしてくださった女性がいました(^^;
お気持ちがありがたいですね。
★修士論文の要約をHPにアップしました。こちら。
一度、紙媒体にしたものを改めてスキャンしなおしたこともあって、字体を見るからに読む気をなくすような感じですが

一応、この概要版に何が書いてあるのかを簡単にご紹介します。
1,2ページは大学院に提出した要約です。約5万字を2ページに収めているのです。
それで、3ページ目以降は私自身が頭を整理するために図などを使って章ごとのまとめをしたものです。
私が議員になった年に区立保育園民営化の問題に出会って、あまりにひどい状況だったものだから、課題を整理したいなというのがきっかけで論文を書きました。練馬の保育園民営化は今でもひどい状況ですが・・・。
第1章は、保育園のことだけではなくて、色々な公共サービスに「民間の活力を導入する」という方向に向かった歴史的経過を整理しました。
1980年代、私が生まれた頃に第二次臨時行政調査会というのが行われて、行政は何をすべきか、民間との関係はどうすべきかということが議論されていたんですね。この頃から、行政が規制するのではなくて民間の活力を活かせば社会は良くなるんだという新自由主義的な発想があったわけですが、しかし福祉の分野は制度的に「行政の措置」という形がとられていたので、ほとんど手をつけられなかったのです。
それが90年代後半以降になって、指定管理者制度とか、「民間活力の導入」のための新たな手法が生みだされてきます。
その時期に、福祉についても「社会福祉基礎構造改革」というのが行われて、民間が入ってきやすい制度改正が行われてきたわけです。
みなさんにとって一番身近なのは、2000年にできた介護保険制度でしょう。
障害者の分野も介護と同様に2003年に支援費制度、2006年に障害者自立支援法という形で制度が変わってきます。
これらの制度は、福祉の事業を行政ではなく民間が担い、そして契約も事業者と利用者が直接結ぶということに特徴があります。これが、「行政の措置を受けるのではなく、契約を結ぶことによって利用者が主体的な選択をすることができる」と謳われたわけですね。
しかし、事業者が充分に安定して運営できるだけのしくみになっていなければ良質な業者は増えないのです。収入源は介護報酬等だけになるので、一般のお店のように、事業者の努力で売り上げが増えるわけではないのですから。
それに、選択できるだけの量が十分でなければ利用者にとっても本当の意味での「選択」にはならないわけです。
たとえば特別養護老人ホームなんか、練馬区内だけで2500人以上の待機者がいるというのに、選択なんかできないでしょう。
このような現実を見ていると、結局、社会福祉基礎構造改革は利用者にも事業者にもメリットがなくて、公的な責任を放棄しただけのように見えます。
これと同様の問題が、同時期に、保育園にも起きているのです。
まず、保育園の運営主体は公立か社会福祉法人が基本だったのですが、2000年に社会福祉法人以外(NPOや株式会社)の参入が可能になりました。そして2001年には待機児解消を名目にして公立保育園の民営化を推進しましょうということが言われました。今までのままだと受け入れられる子どもの数に限りがあるから、株式会社なども含めて多様な主体で担うことによって受け皿を増やしましょうということですね。
受け皿を増やすといったって、担い手がどれだけいるのか、質の担保はどうするのかということが気になるところですが、さらに「骨太の方針」で保育園に出す国庫支出金を一般財源化するということが行われて、保育園は財政的にも厳しい方向に追いやられていくわけです。
公立保育園民営化の背景には、こういう事情があるわけですね。
論文の概要をできるだけわかりやすく、全部いっぺんに書こうかと思いましたが、すでにだいぶややこしくなってきた気がするので、続きは次回にします。
第2章では、公立保育園の民営化について具体的な事例をとりあげて書きました。
練馬のほかに、横浜、葛飾、文京です。
次回のブログでは、これらの事例で見えてきたことをご報告したいと思います。
※かとうぎ桜子のHPはこちら
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