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「遭難フリーター」
16日に私が企画した勉強会のご報告をまだできていないのですが、その前に昨日見てきた映画のことを書きます。色々考えさせられることが多かったものですから。
練馬公民館で「遭難フリーター」というドキュメンタリー映画をやるというのでどこかでチラシをもらったのです。監督と雨宮処凛さんが話をすると書いてありました。
私より2,3歳年下の人が、23歳で「canon」で派遣労働をしていたときに、自分でビデオを録った記録をもとにしたドキュメンタリーということでした。
デモに行ったり、派遣労働者の当事者としての取材を受けたりする。
そんな中で、自分自身の働き方、生き方をなんとかしたいとは思っているけれども、それを「社会問題」とくくられて見られていることには違和感を感じている。
どうすれば自分らしく働けるのか、生きられるのか、ということは、誰でも悩むことですものね。
だから、この映画は、派遣労働の経験をあえて個人の視点から見ていっているのだと思います。
派遣労働の問題もそうですが、路上生活のことでも貧困問題でもなんでも、「個人の問題」「自己責任」と言われてきたことを社会化していくことはとても大切ですよね。
そういう状況に置かれてきた人たちが抱えている課題を一般化して示すことによって、解決すべき社会の課題と捉えなおしていくことはとても大事だと思うのです。
たとえば少し前に、路上生活者のなかに障害のある人もたくさんいるという調査が行なわれていました。
そのような調査をし、その情報を広く共有することによって、「本来は支援を得られるはずの人が、たまたま結びつかずに路上へといってしまう場合があるんだ」ということが理解できるようになる。
自己責任論と闘うためには、課題を一般化して問題を明らかにすることはとても大切だと思います。
だけど一方で、問題を一般化することによって「個人」が見えなくなるということもありますね。
「派遣」の人たちを、全部ひとくくりにして「かわいそうな対象」として見るのではなくて、一人ひとりが何を感じているのかを見るという視点も必要だと思います。
この映画に出てくる岩淵さんは、大学で単位をとりそこねて就職に失敗。でも出版社に勤めたい、いつかは東京に出たいと夢見ながら、ひとまずお金をためるために、卒業した後にとにかく派遣の仕事をするのです。
「なんで東京に出たいのか」「なんで出版社に勤めたいのか」、なんて追及されたって困ってしまう。だって、やってみたいんだもの・・・。
「実家に暮らして、安定する仕事をする道もあったんじゃないですか」というような質問が、上映会の後の参加者とのやり取りのなかでも出ていたんですが、「そう言われたらそうかもしれないけど・・・」としか答えようがない思いがあるわけですよね。
派遣の人だからどう、というよりも以前に、「岩淵さん」という個人を見ることが、とても大事だなあと思ったのでした。
一人ひとりの生き方というのは、そんなに簡単に分類できるわけではないですよね。職業は何なのか、性別は何なのか、というようなことで見分けると、分かったような気になるけれど。でも、それは本当にその人のことをわかっているわけではなくて、分かっているような感じがしてなんとなく安心できるというだけのことではないかと思います。
社会問題という前に、そこにいる一人ひとりの人間の生き様をどれだけ知ることができていたか、知ろうと努力していただろうかということを、改めて考えさせられたひとときでした。
※かとうぎ桜子のHPはこちら
練馬公民館で「遭難フリーター」というドキュメンタリー映画をやるというのでどこかでチラシをもらったのです。監督と雨宮処凛さんが話をすると書いてありました。
私より2,3歳年下の人が、23歳で「canon」で派遣労働をしていたときに、自分でビデオを録った記録をもとにしたドキュメンタリーということでした。
デモに行ったり、派遣労働者の当事者としての取材を受けたりする。
そんな中で、自分自身の働き方、生き方をなんとかしたいとは思っているけれども、それを「社会問題」とくくられて見られていることには違和感を感じている。
どうすれば自分らしく働けるのか、生きられるのか、ということは、誰でも悩むことですものね。
だから、この映画は、派遣労働の経験をあえて個人の視点から見ていっているのだと思います。
派遣労働の問題もそうですが、路上生活のことでも貧困問題でもなんでも、「個人の問題」「自己責任」と言われてきたことを社会化していくことはとても大切ですよね。
そういう状況に置かれてきた人たちが抱えている課題を一般化して示すことによって、解決すべき社会の課題と捉えなおしていくことはとても大事だと思うのです。
たとえば少し前に、路上生活者のなかに障害のある人もたくさんいるという調査が行なわれていました。
そのような調査をし、その情報を広く共有することによって、「本来は支援を得られるはずの人が、たまたま結びつかずに路上へといってしまう場合があるんだ」ということが理解できるようになる。
自己責任論と闘うためには、課題を一般化して問題を明らかにすることはとても大切だと思います。
だけど一方で、問題を一般化することによって「個人」が見えなくなるということもありますね。
「派遣」の人たちを、全部ひとくくりにして「かわいそうな対象」として見るのではなくて、一人ひとりが何を感じているのかを見るという視点も必要だと思います。
この映画に出てくる岩淵さんは、大学で単位をとりそこねて就職に失敗。でも出版社に勤めたい、いつかは東京に出たいと夢見ながら、ひとまずお金をためるために、卒業した後にとにかく派遣の仕事をするのです。
「なんで東京に出たいのか」「なんで出版社に勤めたいのか」、なんて追及されたって困ってしまう。だって、やってみたいんだもの・・・。
「実家に暮らして、安定する仕事をする道もあったんじゃないですか」というような質問が、上映会の後の参加者とのやり取りのなかでも出ていたんですが、「そう言われたらそうかもしれないけど・・・」としか答えようがない思いがあるわけですよね。
派遣の人だからどう、というよりも以前に、「岩淵さん」という個人を見ることが、とても大事だなあと思ったのでした。
一人ひとりの生き方というのは、そんなに簡単に分類できるわけではないですよね。職業は何なのか、性別は何なのか、というようなことで見分けると、分かったような気になるけれど。でも、それは本当にその人のことをわかっているわけではなくて、分かっているような感じがしてなんとなく安心できるというだけのことではないかと思います。
社会問題という前に、そこにいる一人ひとりの人間の生き様をどれだけ知ることができていたか、知ろうと努力していただろうかということを、改めて考えさせられたひとときでした。
※かとうぎ桜子のHPはこちら
2件のコメント
[C328] この映画を観たい
- 2010-05-31
- 編集
[C330] Re: この映画を観たい
あいらむさん
なかなかタイミングが合わず、ここのところお会いできなくて残念です。コメントありがとうございます。
映画の監督いわく、この映画は嫌いな人は嫌いだそうです。何が言いたいんだかわからないといわれてしまうそうで。でも、私はとてもよく分かりました。上映会やりたいなあ、なんて思います。(とはいえ来春が私の選挙だから、無事2期目に突入できなければ実現は難しいとは思いますが…。)
私と同様にタモリ倶楽部が好きなあいらむさんならきっとこの映画を好きになるのではないかという気はします(笑)
なんというか、一見、何も社会性がないように見える、どうでもいいような日常の中に、とてもひきつけるものが存在するというか・・・。
私もいつか上映会は企画したいという野望は持っていますが、その前にもし機会があれば見てみてください。
なかなかタイミングが合わず、ここのところお会いできなくて残念です。コメントありがとうございます。
映画の監督いわく、この映画は嫌いな人は嫌いだそうです。何が言いたいんだかわからないといわれてしまうそうで。でも、私はとてもよく分かりました。上映会やりたいなあ、なんて思います。(とはいえ来春が私の選挙だから、無事2期目に突入できなければ実現は難しいとは思いますが…。)
私と同様にタモリ倶楽部が好きなあいらむさんならきっとこの映画を好きになるのではないかという気はします(笑)
なんというか、一見、何も社会性がないように見える、どうでもいいような日常の中に、とてもひきつけるものが存在するというか・・・。
私もいつか上映会は企画したいという野望は持っていますが、その前にもし機会があれば見てみてください。
- 2010-06-08
- 編集
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また一般論としても、桜子さんが言われるように、社会化しようとしながら、ちゃんと個を個として見る、ということの大切さが分かります。