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共生社会についてのセミナー②

長野に来て私は何をしているかというと、パソコンでチラシを作って印刷屋さんに発注したり、その印刷物を送る宛名を準備したり、今後の集会の会場を予約したりしています・・・場所が事務所から長野に変わっただけで、あまりふだんの生活と変わらないのですが、ときおり猫とたわむれたり田んぼを見たりで少しほっとした時間をもてています。

パソコンや携帯があるから、どこでも仕事ができちゃうのですが、でも逆にそうじゃなければ忙しくて長野に来ることなんてできないから、「パソコンのせいで休めない」ともいえるし、「パソコンのおかげで休めた」ともいえる・・・。

2年前にきたときは、寒く感じるほど涼しかった長野ですが、今年はあまり涼しさを感じません(^^;
ほんとに今年は全国的に暑いのですねぇ・・・。


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8月中旬から配る予定のチラシをようやく完成させたのですが、その下書き原稿を踏んづける猫。



さて、前回のブログの続きです。

鉄道弘済会で主催した「共生社会への道筋」というセミナーへ参加してきましたが、午後は幾つかのテーマごとの分科会に分かれました。

私が参加したのは、ハンセン病当事者の森元美代治さんが出ている分科会。そのほかに、埼玉のほうで活動しているほっとポットという路上生活者支援の団体の方と、神奈川で外国籍住民の方の支援をしている方の3人がシンポジウムの形式でお話をしました。


まずハンセン病問題は国内で新しい患者が出ることはもうないので、森元さんはNPOを立ち上げて、今でも患者が出ているほかの国の支援をメインにやっています。ネパールなど、他の国の状況を見に行くことが多いということでした。
他の国では今でも患者が出る状況があり、そして療養所も貧しい状況にあるんだけれども、でも患者は子どもを生むこともできるし、病気が治ったらそこで看護師さんになったり他の職業について生きていくことができるというのが日本のハンセン病患者との大きな違いだというお話をしてくれました。


路上生活の問題は、複合的な課題が重なっている場合が多い。たとえば、もともとアルコール依存の問題を抱えていた人が年をとって認知症の症状ももち、そして路上で生活をしているというケース。
高齢者福祉の対象となる状況でありながら、アルコール依存の治療ができるような環境はなかなか得られないのでサービスにつながりにくい。そして路上生活で住民票を持っていないからサービスにつながりにくい。
(そういえば、前々回のブログで書いた子どもがネグレクトで亡くなった事件も、児童相談所が「住民票がなかったから把握できなかった」と言っていたという報道がありましたね。本当にそんなことを言ったのかどうか、直接大阪市の児童相談所に確認したわけではなく、報道で知るしかないので分かりませんが、これも住民票がないことを理由に制度につながらなかった深刻な事例と言えますね。)

経済的にも環境的にもある程度、整った状況にある人が制度に位置づけられた福祉サービスを利用し、本当に社会とのつながりが途絶えて貧困な状態におかれた人は制度的に保障されていない支援や、さらには非合法的なネットワークのなかに入らざるを得ないという理不尽さも見えてくるというお話もありました。


次に外国籍住民の支援をしている人の話。

労働力として求められたり、結婚相手として求められたり、さまざまな理由で日本に住むことになった外国籍の人がたくさんいます。しかし、例えば子どもを生んで子育てに悩んだり、言葉が通じないことや文化の違いに苦労したり、DVの被害にあったり、といったような状況のときにどこに相談できるのかというのがとても難しいようです。
多くは民間で対応をしてきている。というのは、法律に位置づけられる福祉制度が適用されるのは「日本国民」が前提になっているから。


これら3つに共通するのは、今ある制度に人をおさめようとするのではなく、今現実に生きている人が何に困っているのかを見ていかなくてはならないということ。
ハンセン病は法律に基づいて隔離をすることによってその人たちが本当に求めていた生き方を見つめずにきてしまった。路上生活者は「住民票が無いから」とか「起きている課題が複数にまたがっていて全部を支えきれない」ということを理由にして福祉的支援から抜け落ちていってしまう。いろんな理由で外国の人が日本に住む機会は増えてきているのに、日本国籍住民しかいないことを前提に作られた様々な制度の見直しが行われていない・・・など。


そして、ひとつひとつの事例をとらえれば、その人その人個人の問題に見えたとしても、それが社会全体の問題であると認識していくことが必要であること。

本来は当事者が発信できる力を取り戻すことが大事なのでしょうが、しかし、当事者はとてもじゃないけど社会に訴えられる余裕が無かったり、あまりにひどい状況でその力を奪われていることもあるので、少なくとも当面は支援する側が代弁して社会に課題を訴えていく必要があるということ。


制度の中でおさめようとせず、だれも見向きもしない数少ない一人の困りごとにしっかり耳を傾けるのがソーシャルワーカーの仕事であるだろうということを改めて思いました。

一方でこの研修の前日に受けていた保育に関する研修で、現場の保育士さんたちが本当に真摯に試行錯誤しながら子ども達と向き合っている姿も見てきました。
専門職も一人ひとりの課題に向き合えば、その解決にむけて取り組むことが先になるから、それを社会に向かって訴えていくだけの余力は残っていないというのも分かる気がします。

でも、まだまだ制度外で困っている人は私達のすぐ隣にたくさんいます。一人ひとりの状況をよく知り、ともによりよい社会を目指していかなければ、顔の見えないひとくくりにされて、「財源不足」などで福祉がさらに切り下げられてしまうと思うのです。
福祉制度が切り下げられるギリギリになってあわてて運動するのではなく、日ごろから、個人情報の問題にも配慮しながらも、一人ひとりがどんな問題に困っているのかをより広い社会全体に訴えられる力を、福祉の関係の人達みんなで築き上げていくしかないのかなというのがこの数日間の研修を受けて改めて心に残った思いです。

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この研修の資料を踏む猫。・・・資料を床に置く私がいけないのですな・・・。


※かとうぎ桜子のHPはこちら

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プロフィール

かとうぎ桜子

Author:かとうぎ桜子
1980年生まれ。

保育士、ヘルパー2級、社会福祉士の資格を使って福祉の仕事をしてきました。
制度だけでは一人ひとりが安心して生活するまちを作るには不十分だと考え、誰もが安心できるまちのしくみ作りをしていきたいと考えています。

2007年4月の統一地方選で練馬区議会議員に初当選。

2010年3月、「市民参加と公共性―保育園民営化を契機として」と題する修士論文を書き、立教大学大学院・21世紀社会デザイン研究科を修了。

2011年4月 無所属で2期目に当選。

2011年末に子宮頸がんが見つかり、2012年春に円錐切除の手術をしました。その後は今のところ再発もなく元気に仕事しています。
この経験を活かし、がん検診の啓発など健康に関する課題にも取り組んでいこうとしています。

2015年4月、3期目に当選。

会派は市民ふくしフォーラム。

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