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高齢者の孤独死問題-5月13日の集会の報告

ご報告が遅くなりましたが、5月13日の講演会の報告を書きます。

タイトルは「縁なき社会から援ある地域へ」。
4月中旬まで街にポスターを貼ってはいましたが、選挙後には改めてのお知らせを十分にできず、どうなることかと思ったけれど、たくさんの区民の方にお集まりいただき、無事行うことができました。

出演者は本庄有由さん。本庄さんは新宿で「人と人をつなぐ会」という、孤独死防止のためのNPOを作っています。

本庄さんのNPOの活動は時折テレビ・新聞などでも紹介されているので、今回の集会では最初に30分ほど、この映像を見て頂きました。


本庄さんと私が初めてお会いしたのはたしか2005年でした。
私は社会福祉士の資格を取得し終わって、新宿でデイサービスをやっているNPOに就職し、地域の活動にも参加し始めていました。
本庄さんは当時はまだNPOを作っておらず、戸山団地の自治会の役員をする中で孤独死の問題にぶつかって悩んでいらっしゃいました。

新宿区が「20年後の新宿区の将来像を考えよう」と区民を集めた会議で、本庄さんは「今、孤独死が起きているというのに、20年後どころじゃない」と怒っていらっしゃった。

その後、何度もお話をするうちに、本当に真剣に地域のことを考えていらっしゃるんだなあと、私はすごく勉強になりました。

孤独死の問題のように、制度だけでは対応できない課題を、ともに考えていくことのできる仕事がしたい―議員になりたいと思うきっかけのひとつは本庄さんにいただきました。


その後、2007年に私は議員になり、同じ年に本庄さんはNPOを立ち上げ、2008年に何年かぶりで再会してから、時々交流させてもらっています。

本庄さんの今の活動は、
・地域の高齢者が参加できるようなイベント(食事会、閉じこもりがちな男性を対象にした会など)
・高齢者施設を見学するバスツアー
・外に出づらい人の安否確認をする「見守りケータイ」システム。(折りたたみ式の携帯電話を開けば自動的に、あらかじめ登録した家族などにメールが届く)
・「見守りケータイ」を持ったものの、携帯電話の使い方がわからない高齢者を対象にして、大学生に協力してもらっての携帯電話講座をする

などです。

講演ではこういった活動の概要をお話いただきました。


そこで挙げられた課題。
公営住宅は所得制限があるので、子どもたちは経済的に自立すると出て行かざるをえない。だから必然的に一人暮らしの高齢者が増えてくる。高齢者ばかりになってくるので自治会が機能しなくなる。(特に戸山団地は昭和20年代に建設されたため、8,90代の人が多く、自治会活動が難しい。)
公営住宅に新しく入る人も多くが高齢者だが、自治会が機能していないところへ入ると、地域のことを誰に聞いていいかもわからず孤立してしまう・・・という悪循環。


私からは、練馬の状況をお話しました。
練馬区が3,4年に1度の割合で「ひとりぐらし高齢者等実態調査」というものをやっていますが、それによれば2009年のひとりぐらし高齢者は約2万人弱。高齢者のみで暮らしている世帯は約9千弱。
練馬区内で特に一人暮らし・ご夫婦で高齢世帯という家が多いのは、団地などの集合住宅がある地域であるという結果も出ており、やはり戸山団地と同様の課題は練馬でも起きつつあります。

公営住宅の問題は私も感じます。
たとえば区のHPに過去の区営住宅の申込についてのページがあって、その中に申し込める条件が書いてありますが、たとえばひとり親家庭の2人世帯(例えばお母さんと子ども1人)の場合の所得の上限は227万6千円です。

この上限を超えたからといって決して高額所得とはいえないのに、公営住宅の対象にならなくなってしまう。ひとり親家庭だったら、ようやく子どもが自立して低所得ながらも収入を得るようになったら住めなくなってしまうような状態。

こういう状態では、それぞれが自分の生活を立てていくのでも大変で、お互いに支えあうというのはなかなか難しいのではないかと私は思います。

本来ならば地域は、年齢も家族構成も社会的立場も様々な人がいて初めて、お互いの困りごとを支え合えるはずです。

これは「公営住宅法」の問題なので、区だけでは解決はできないけれど、まずは多くの人と問題共有をする必要があると私は思います。



今回の講演会は、立教大学の中村陽一先生がコーディネーターをしてくださいました。
中村先生は私が昨年修了した大学院でお世話になったのですが、練馬区民でもあります。
市民活動・NPOがご専門なので、「行政だけではない、民間との協力関係も考えていかなくては」という視点からお話をしてくださいました。

中村先生のお住まいはコーポラティブハウスというもので、いろんな世代・いろんな人が一緒に作り上げるというものだそうで。
中村先生の住まいは練馬区内にあって民間が主体にやっているものなわけですが、こういった新しい集合住宅のかたちを広げていくことが、支えあう地域づくりのひとつの可能性になるのではないかという話をしてくださいました。

2011513.jpg


参加者の皆さんから出していただいたアンケートの中に「孤独死の話なのか住宅問題なのかがよく分からなかった」という趣旨のものがありました。
孤独死の話と住宅問題は同じなのに、どういう意味だろう・・・と私は思い悩みましたが、何日か考えてみて、ようやくわかりました。

孤独死の問題を、個人の問題ととらえるか社会の問題ととらえるかという視点の違いではないかと。

その人の生き方、仕事のしかた、家族関係といった、個人に要因があって孤独死が起きると考えればこれは住宅問題ではないですね。きっとアンケートを記入してくださった人は、個人レベルの課題としての孤独死に注目していらっしゃったのではないかと。

ただ、いろんな生き方の人はいつの時代にもいるはずなのに、なぜ今孤独死がこれだけ問題になっているかと考えると、それは個人ではなく社会のあり方になんらかの課題があると捉えられるべきだと思います。そしてそれは、住まいのありかたに問題があるということでしょう。



何人かの参加者の方は、「住まいの問題がこんなに大変な状況になっているとは知らなかった」とおっしゃっていました。
まずはこうして課題を共有するのが第一歩かと思います。

本庄さんはよく「議論ばかりしていてもしかたない。動かなきゃ」とおっしゃいます。
私もこれからさらに、本庄さんとも連携しながらアクションを起こしていきたいと思います。

※かとうぎ桜子のHPはこちら

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  • 2012-09-13
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プロフィール

かとうぎ桜子

Author:かとうぎ桜子
1980年生まれ。

保育士、ヘルパー2級、社会福祉士の資格を使って福祉の仕事をしてきました。
制度だけでは一人ひとりが安心して生活するまちを作るには不十分だと考え、誰もが安心できるまちのしくみ作りをしていきたいと考えています。

2007年4月の統一地方選で練馬区議会議員に初当選。

2010年3月、「市民参加と公共性―保育園民営化を契機として」と題する修士論文を書き、立教大学大学院・21世紀社会デザイン研究科を修了。

2011年4月 無所属で2期目に当選。

2011年末に子宮頸がんが見つかり、2012年春に円錐切除の手術をしました。その後は今のところ再発もなく元気に仕事しています。
この経験を活かし、がん検診の啓発など健康に関する課題にも取り組んでいこうとしています。

2015年4月、3期目に当選。

会派は市民ふくしフォーラム。

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