Entries

子ども・子育て新システムについて(予算質問⑩)

予算で質問した内容の報告の最後の回です。

子ども家庭費は、私の会派は私と池尻さんとで時間を分けたので、もともとあまり時間的余裕もなかったのですが、子ども・子育て新システムについて質問したところ、かなり中身のない答弁が返ってきました(^^;

ほとんど読んでも無意味な内容ですが、一応、要旨を以下に書きます。
その前に、子ども・子育て新システムの概要と課題をご紹介します。

幼稚園と保育園の一元化は、自民党政権の頃から言われていて、「認定こども園」というものを作るとりくみもありましたが、なかなか広がっていません。

民主党も、政権をとるときに、子ども分野の施策の見直しをするといっていました。
今まで、子どもに関わることは文部科学省と厚生労働省とにわかれていて、似たような事業をそれぞれやっている場合もあった。でも「子ども」の視点から見直しをして、「子ども家庭省」を作り、支援を充実させるということでした。そこで、「子ども・子育て新システム」の検討が行われるようになったのです。

それは、幼稚園と保育園の一体化のことだけではなく、虐待を受けるなどの子どもたちの社会的養護の充実、障害のある子への支援、妊婦への支援やひとり親家庭への支援なども含まれます。
幼稚園と保育園の一体化をすることは、就学前の子どもたちがみんな同じ支援を受けられる体制を作ることと、「こども園」として統一することによって数を増やして待機を減らすことを目指すということでした。

しかし、検討が進むにつれて、様々な課題が見えてきました。

・結局、政府は当面「子ども家庭省」を作るのは困難であると判断したようで、内閣府、文科省、厚労省で対応すると言っている。2つに分かれてたものを1つにまとめるつもりが、なぜか3つになっちゃって、余計分かりづらくなるじゃないか、という問題。

・新システムの議論が進むにつれて、子ども施策全体の課題の整理というよりも、幼保一体化にかなりのウェイトが置かれている感がある。そして幼保一体化にもいろいろな課題がある。

・幼保一体化の課題①:3歳以上の子どもを受け入れていた幼稚園にとって0,1,2歳の子どもを受け入れる体制を作ることは物理的に困難な場合も多い。新システムでは、3歳未満児の受け入れは義務ではないので、結局、一番待機の多い3歳未満の子を受け入れる施設は増えない可能性が高い。

・幼保一体化の課題②:今まで保育園は、行政の保育課に申し込みをする形をとっており、行政が保育に欠ける度合いを点数化して順番を決めて入園の決定をしていたし、保育料の支払いについても行政の窓口を通して行っていた。それを、新システムではこども園と保護者の直接契約という形に変更する。待機のいる地域で直接保育園に申し込むとなると、保護者に過剰な負担がかかるので、待機のある地域は今まで通りにするともいわれているが、虐待の状態にあるとか、子どもまたは親に障害がある、ひとり親であるなど、生活に困難を抱えている人が直接契約になることで保育を受けられない可能性は出ないのかという問題。
国は、虐待やひとり親への支援は行政が責任を持っておこなうことを法律に明記するというが、実効性のあるものになるのか懸念される。

・幼保一体化の課題③:私立幼稚園は、その園の状況によって、こども園とは違う運営をしている場合もあり、一律にこども園へと移行させられることに抵抗したという経緯があって、結局、移行するかどうかはそれぞれの幼稚園が判断することになった。だから、幼稚園によってはこども園に移行したり、そのまま幼稚園として残ったり、一方で保育園はすべてこども園に移行したりと、様々な形態ができるため、結局、保護者が選択する際にはむしろ今まで以上に分かりづらくなることが懸念される。

・幼保一体化の課題④:こども園は、基本サービスに追加してオプションで教育プログラムなどを提供した場合、上乗せの利用料をとっても良いことになる。それは保護者が選択することになるが、低所得であるなど家計が苦しい場合には選択ができない。同じ園の中で、サービスを受けられる子と受けられない子が出て、「なんで私はみんなと一緒にできないの?」となったときに、どうするのか。

・幼保一体化の課題⑤:幼稚園は短時間である場合が多く、保育園は親の就労の状況などに合わせて比較的長時間利用する場合が多い。この2つを一体化させると、同じ園の中でこどもによって来る時間、帰る時間が異なるという状況が起きて、落ち着いた一日のリズムを作れるのか、という懸念。

・幼保一体化の課題⑥:今まで保育園を利用する場合、保護者の長時間の就労があるために保育園が必要という家庭、あるいは病気や障害などの理由で利用する場合が多く、パートや非正規就労の人が比較的利用しづらい面があったので、子育てサービスを統一すれば今まで利用しづらかった人の利用が広がることは期待されている。ただ、上に書いたように、実質的に幼稚園は幼稚園として残ることになりそうだという状況の中では、結局保護者にとっての使い勝手も向上しないのではないか。

・幼保一体化の課題⑦:こども園は今まで以上に株式会社の参入がしやすいしくみにすると言われている。そうなった場合、保育の質の確保をどうするか、保育士が不安定雇用化しないかが心配される。また、待機児解消を理由にして施設基準の緩和が行われないかも心配である。

などなど、いろいろな課題があって、今後の国の動向を注視する必要があります。

新システムに通底する問題点は、「幼保一体化ですべてのこどもに対応する」という言葉の前提に「こどもの置かれた状況の違いは、親の就労の有無だけだ」という単純な発想があるように思います。
でも本当は、いろいろな事情を抱えた家庭があり、様々な状況に置かれた子どもがいて、「健康な両親がそろっている家庭の健康なこども」ばかりではないわけです。

就学前の子どもへの支援という点で、これだけ新システムが抱えている課題がたくさんある中では、国として、あり方を慎重に検討し直しすべきだと私は思います。
一方で、せめて一人一人に身近な市区町村で、今やれることをやっていく必要もあると思います。

区は、国のシステムで見落とされがちな弱い立場に置かれたこどもや家庭への支援をどうきめ細かにおこなっていくかを考えていかなければいけない時期にあると思います。また、私立幼稚園が新たなこども園への対応が難しいという状況にあるのであれば、公立の保育園や幼稚園が受け皿になる役割を果たす必要もあると思います。

ところが、以下にあるように、練馬区は国の動向を見るというばかりです。
練馬区はいつも国や都やほかの自治体の動向を見るばかりで、独自で考えることができない傾向にあるのですが、本当に残念だと思います。


------------
(かとうぎ桜子)
保育所維持運営費に関連して、子ども子育て新システムの保育園にかかわる部分について伺います。

子ども子育て新システムに関しては、1月31日に基本制度の取りまとめというものが出ました。まだ具体的に、区にどうかかわるかとか、保護者の方、子どもたちにどう変化があるのかというところはまだまだ見えない部分もたくさんありますけれども、例えばこども園では、子どもを預かる時間がその子によって違うので、どうやって落ちついた生活リズムをつくっていくのかということとか、利用料の支払いなど直接契約になったときにどうなるのかとか、上乗せ分についてはどういう扱いになるかとか、特に低所得であるなどの配慮が必要なご家庭にとっての負担というところが気になるところであります。

虐待とかひとり親への配慮ということは、法律の中にも入れていくという議論が行われているようですけれども、区としても、特に配慮が必要であったり、弱い立場にある方への配慮というものをさらに積極的に考えていかなければいけないと思いますけれども、今の段階でどのようなお考えをお持ちであるかをまずお聞かせください。

(児童青少年部長)
子育ての新システムについてですけれども、私どももこの内容をじっくり読み込んでいるのですけれども、まだまだ具体的なところの部分がはっきり示されていないという中で、これからさらに国が制度を詰めていくのをしっかり注視しながら、区においてどのような形で新システムを導入できるのか、その辺について検討してまいりたいと考えてございます。        

(かとうぎ桜子)
ぜひしっかり区として取り組める部分については、考えていっていただきたいと思います。

この基本制度取りまとめというのを見ていると、「公立がこども園を設置をする際に教育委員会に意見を聞く」となっています。教育委員会のほうに意見を聞くとなったときに、福祉の視点がどう入っていくのかというところが、すごく気になる点です。

練馬区は、4月から教育委員会の方に子ども分野が入っていくわけですけれども、その中で、まず現行の保育園のことを教育委員会としてどのように中身の議論をしていくのかという点を1点伺いたいのと、2点目として、こども園、また公立の保育園の評価をどう行っていくか。新システムの資料を見ると、費用の使途実績であるとか、事業の点検評価をわかりやすい形で行うことが必要であると書かれています。

今の段階では、公立保育園については民間委託のときなどに、経費削減のことを中心に議論されていますけれども、例えば障害児を積極的に確実に受け入れられるなど、公立としての役割もすごく重要なところだと思います。こういった評価をどう考えていくのかをお聞かせください。

(児童青少年部長)
新システムにおいて、総合こども園については、保育所から総合こども園になる、幼稚園から総合こども園になるという意味で、今現在、教育委員会が幼稚園を持っていますけれども、区長部局において、総合こども園をする場合には、教育委員会の意見等を求めなさいという内容で取りまとめにはなっていると思います。

今回、平成24年4月からは、教育委員会一本で、総合こども園に対応できますので、必要なことについては、区長部局と教育委員会で調整する作業が出てくると考えてございます。
今、何点かお尋ねがありましたけれども、いずれにしても、このシステムの内容がまだ具体的でございませんので、さらに情報を集めて、必要な対応について検討してまいりたいと考えてございます。  

(かとうぎ桜子)
待機児解消の面についで伺いたいと思いますけれども、先ほど、ほかの会派の議論の中で、今度の4月に向けての申し込みの状況はまだまだ厳しく、定員よりも申込者が1171人多いという大変な状況にあるとお聞きしました。
私立幼稚園がこども園になったところで、なかなか待機児の解消にはつながらないのではないかという懸念もされているところです。
今度、区立幼稚園を廃止するという方向でいますけれども、区立幼稚園を残して保育の機能を持たせていく、また、先々のこども園としてのことも考えながらやっていくというお考えがないのかどうかということを確認して、私からは終わります。

(学務課長) 
まず1点、区立幼稚園のこども園化ということでご質問をいただきました。
区立幼稚園では、現在4歳児、5歳児の2年保育です。また、私立幼稚園では、3歳児からの3年保育ということで、いずれにいたしましても、ゼ口歳から2歳までの乳児については、幼稚園の方では、これまでお預かりしていないということがございます。
ゼロ歳から2歳については、実施施設内での給食の提供ですとか、課題がたくさんございますので、今後、国の子ども子育て新システムの詳細を見ながら、幼稚園全体として、このシステムにどう対応していくかは検討すべき課題であると認識しております。

0件のコメント

コメントの投稿

新規

投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

0件のトラックバック

トラックバックURL
http://sakurakohappysociety.blog56.fc2.com/tb.php/611-01f3c6b2
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

Appendix

桜子のツイッター

プロフィール

かとうぎ桜子

Author:かとうぎ桜子
1980年生まれ。

保育士、ヘルパー2級、社会福祉士の資格を使って福祉の仕事をしてきました。
制度だけでは一人ひとりが安心して生活するまちを作るには不十分だと考え、誰もが安心できるまちのしくみ作りをしていきたいと考えています。

2007年4月の統一地方選で練馬区議会議員に初当選。

2010年3月、「市民参加と公共性―保育園民営化を契機として」と題する修士論文を書き、立教大学大学院・21世紀社会デザイン研究科を修了。

2011年4月 無所属で2期目に当選。

2011年末に子宮頸がんが見つかり、2012年春に円錐切除の手術をしました。その後は今のところ再発もなく元気に仕事しています。
この経験を活かし、がん検診の啓発など健康に関する課題にも取り組んでいこうとしています。

2015年4月、3期目に当選。

会派は市民ふくしフォーラム。

カレンダー

12 | 2021/01 | 02
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -

過去ログ