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決算での質問① 精神障害のある人への保健福祉の充実について

今、練馬区議会の第三回定例会が開かれています。

この定例会では前年度の決算の審査をします。今回、私は「保健福祉費」と「子ども家庭費」で質問をしましたので、これから数回に分けてその内容をご紹介します。

以下に記載するのは議会事務局から提供を受けた未定稿の議事録を、語尾など読みやすく直したものです。
(実際には行政の答弁は語尾が「~につきましては」「~でございます」というような、普段私たちが使わないような言葉遣いで、文字にしてもとても読みにくいのです。行政の人たちはそのうち一人称が「拙者」になるのではないか、といつも不思議に思うのですが…なので、読みやすいように「です」「ます」に直してあります。)

今回ご紹介するのは精神保健福祉の充実についてです。

6月に大泉の小学校でこどもが切りつけられるという事件が起こりました。
犯人はすぐつかまりました。こどもたちの安全の確保は大きな課題です。


その事件が報道されるときに、「犯人は精神科の通院歴があった」と言われました。

なんらかの事件が報道されるときに、加害者・被害者の障害や疾病の有無が言われることは、偏見を助長しているようで疑問を感じます。
また、事件を通じて排除の意識を持つのではなく、「地域の中で孤立する人が出ないよう、もっとサポート体制が必要だったのではないか」という観点から捉えることも必要ではないかと思います。

また、精神障害への対応については、以前からご家族の方からも対応についてのご要望が出ていましたので、その点についても質問しました。

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(かとうぎ桜子)
精神保健対策費に関連して伺います。

大泉第一小学校で起きた傷害事件は、逮捕された人が本来必要だった精神科医療、福祉のケアを十分に受けられていなかったという側面から、課題を捉えることもできるかと思います。
当該の人に対して、保健相談所の保健師の接点はなかったのでしょうか。どのようにかかわってこられたかをお聞かせください。

(大泉保健相談所長) 
保健相談所の保健師は、本人またはご家庭からご相談があった場合に、精神障害の早期発見、早期治療を目的として必要な支援を行っています。
大泉第一小学校の事件のケースについても、相談内容に応じて、保健師が必要な対応を行ってまいりました。

(かとうぎ桜子)
保健師と通院先の医療機関との連携はできていたのかということをお聞かせいただきたいのが1点と、また、今回の件を受けて、区としては、精神保健福祉の観点から検証すべき課題をどう捉えているか。以上2点、お考えをお聞かせください。

(大泉保健相談所長) 
まず、医療機関とのかかわりについてですが、一般的にご相談を受けた事例が医療を必要とする場合には、ご本人、ご家族の了解を得て、医療機関と連携をとっていきます。
この大泉第一小学校のケースについても、必要に応じて医療機関と連携を図ってまいりました。

また、今後についてですが、今回の事件は、6保健相談所共通の課題であると認識し、次の視点から検討を進めていきたいと考えております。

まず、今回のような事件を未然に防ぐために、医療を必要としている精神障害者の方の医療が適切に継続しているのか、また地域で孤立していないのかなどの観点から、本人や家族、医療機関などからの情報を集約して、予防的な支援を強化していくことが必要であると認識しております。

また、保健相談所が精神保健相談を受けている場所だということを、一層きめ細かく、区民の皆さまに周知していく必要性があることも認識しております。
そのため、それらについて課題を抽出・整理しまして、再発防止に向けての検討を進めていきたいと考えているところです。

(かとうぎ桜子)
ぜひ、必要な人への支援が途切れてしまわないように、検討を進めていっていただきたいと思います。

それで、2012年度に、実働の保健師さんが52人。それに対して訪問数が7,970件、面接数が1万5,621件、電話相談は5万6,309件と伺いました。単純に人数で割ると、一人当たり年間の訪問が153件、面接が300件、電話は1,082件受けているという、大変な数になります。

こういう相談の中で、精神保健福祉分野の占める割合も多く、例えば訪問だと7,970件中4,054件、およそ半分が精神保健福祉に関連する訪問です。件数だけ見ても、一つ一つのきめ細かな相談・調整をするには、物理的に厳しい面があるように感じます。保健師の増員などの対応が必要ではないかと考えますが、区としての認識をお聞かせください。

(光が丘保健相談所長)
私から、保健師活動全体について、お答えいたします。
委員ご指摘のとおり、保健師活動の中で、精神保健福祉活動が増えています。これは平成18年に自立支援法、現在の総合支援法でございますけれども、こちらのサービス給付を希望する方への相談、同行訪問、調査、このような内容が増えているものと思われます。

こういった内容について、保健師の業務の見直しを現在しておるところです。
また、精神保健福祉活動につきましては、保健師の個別支援だけでは限界がございます。
大泉保健相談所長の申し上げましたように、家族や医療機関との連携を強化して、予防的な支援をしていくこと。また、保健・医療・福祉の場合においては、関係者の地域でのネットワークが必要になってまいります。

練馬区には、4つの精神保健福祉関係者連絡会がございます。こういった活動を通じまして、地域で精神保健福祉の支援をしていきたいと思っております。

保健師の増員については、先ほど申しましたように、まず業務の見直しからということで取り組んでまいりたいと思っております。

(かとうぎ桜子)
保健師さんが、一つ一つのケースについて、しっかりと向き合える体制をとっていただきたいと思います。

精神科で自立支援医療費の支給を受けている方の中でも、保健相談所につながっていないケースもあると伺いました。
その中には、客観的には保健師の継続的な関わりが必要と思われるケースであっても、実際にはつながりを持てずにいる場合もあるのではないかという点が、気になるところです。

フォローが必要でありながら、つながっていない人とのかかわりを持っていくために、保健師さんだけでなく、医師の協力なども必要になってくるかと思います。

そんな観点で、現在行われているアウトリーチ事業についても、伺います。
これは2011年度から実施しているもので、未治療や治療中断、引きこもりなどの状態にある精神障害をお持ちの方に医師が訪問する事業です。とても重要な事業ですが、2011年度は11人、2012年度は12人と活用された人数が少ない点が気になります。

そこで、どのような経緯でこの事業を活用するケースが多いのか。また、この事業によって、どのような成果が出ているかをお聞かせください。

(光が丘保健相談所長) 
今、お話がありましたアウトリーチ事業は、国の要綱をもとに、平成23年度から練馬区独自の事業として取り組んでおります。

事業の対象者ですけれども、地域で医療を必要としているが医療につながっていない方、また治療されていたけれど中断されている方、さらに引きこもり状態にあって医療が必要かどうかの判断が必要な場合、こういった場合に、この事業を活用しているものです。

これまでの保健師活動に加えまして、精神科医師等が同行訪問することにより、治療が必要な状況にあるか否かの見立てをしているところが、主な事業の内容です。
平成24年度は12例ということでしたけれども、その中で実際の医療につながった事例もございますので、一定の成果があると考えております。

また、同事業は東京都にも、アウトリーチ事業という事業がございます。
こちらの事業は専門職チームでかかわり、支援期間が6か月となっております。この事業を昨年度利用して9名の訪問をさせていただいております。
区独自の事業、都のアウトリーチ事業を効果的に使いまして、在宅で未治療の患者さんに支援してまいりたいと考えておるところです。

(かとうぎ桜子)
基本的には、今は保健師さんの対応が中心で、そこを補う形でアウトリーチ事業を活用されているということではないかと思うのですけれども、当事者のご家族の方からは、さらにもう少し進んだアウトリーチ事業を展開してほしいという要望があるかと思います。

病識のない当事者や、どうしたらいいかということで悩んでいる家族は、本人を連れて精神科を受診するという、最初の一歩に至るのがとても大変なので、医師や保健師などがチームを組んでアウトリーチをしてほしいという要望があると思います。

当事者、家族、専門家、現場職員などからなる検討委員会を作って、今後のアウトリーチの充実について検討する場を作ってほしいという要望も出ていますが、この点についてどう取り組むか、区としての考えをお聞かせください。

(光が丘保健相談所長)
今お話にありました、アウトリーチに関します要望のことについてですけれども、区としては十分承知しているところです。
先ほど申しましたように、練馬区独自の事業と東京都事業がありますので、こういった事業の関連の調整、また今後に向けましては、まず健康部内の中で庁内の検討会を通じまして、検討しているところです。
今後の体制整備にあたりましては、ご家族、また当事者の方のご意見を踏まえてまいりたいと考えております。

なお、個々のアウトリーチ事例につきましては、ご家族のご意見やご要望を十分承りながら、支援をしているところです。

(かとうぎ桜子)
ぜひ当事者やご家族のお話を伺いながら、そして精神科の医療機関などとも連携しながら、この事業の活用を進めていっていただいて、地域の精神保健福祉の充実をしていただきたいと思います。

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事件を踏まえての課題の整理、またアウトリーチ事業のより一層の有効活用についても、今後の検討課題として捉えているという答弁でしたので、数ヵ月後にまた検討状況を確認していきたいと思っています。

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プロフィール

かとうぎ桜子

Author:かとうぎ桜子
1980年生まれ。

保育士、ヘルパー2級、社会福祉士の資格を使って福祉の仕事をしてきました。
制度だけでは一人ひとりが安心して生活するまちを作るには不十分だと考え、誰もが安心できるまちのしくみ作りをしていきたいと考えています。

2007年4月の統一地方選で練馬区議会議員に初当選。

2010年3月、「市民参加と公共性―保育園民営化を契機として」と題する修士論文を書き、立教大学大学院・21世紀社会デザイン研究科を修了。

2011年4月 無所属で2期目に当選。

2011年末に子宮頸がんが見つかり、2012年春に円錐切除の手術をしました。その後は今のところ再発もなく元気に仕事しています。
この経験を活かし、がん検診の啓発など健康に関する課題にも取り組んでいこうとしています。

2015年4月、3期目に当選。

会派は市民ふくしフォーラム。

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